36話 この世の地獄

人は何故、神様を信じるのだろうか。この世に溢れる理不尽をどうして救ってはくれないのだろうか。

もし今、目の前に神様が現れても僕はもう何も信じないだろう。いや、もう何も信じたくはなかった。


「いっ、痛い……」


目覚めは最悪だった。全身に激痛が走り頭が痛い。目を擦ろうとするも、両手が拘束されてて動かせない。

視界がぼやけて見える。それと同時に体が机の様な物に固定されていた。

ギシギシと木が軋む音と自分の視界が揺れている違和感に気付いた。

僕は下半身に強烈な痛みを感じた。


「よう、お目覚めか? もう待ちきれずに1回行っちまった所だ。」


目覚め? 僕は寝ていたのか? 頭がくらくらして何が起きているのか分からなかった。しかし異常な事が起きていた。

目の前に半裸の男が必死に僕のお尻に向かって腰を動かしていた。

僕は何が起こったのか分からなく。

いや、理解したくなくて叫んだ。


「あ……ああああああああああああああああああああああああ!!!」


「おぉ、やっぱり起きてる時は締りがいいぜ。初物は最高だ!」


男はしゃべりながら腰を激しく動かした。


「おらっ、目覚めたんならこっちも気持ちよくしてもらわねーとなぁ?」


もう一人の男が固くなった下半身を僕の顔に無理やり押し付けてきた。


「やめっ……汚いよ……あがっ……んっ……」


男は僕が喋るのを遮り、口にそれを押し込んだ。必死に抵抗しようにも手も足も動かせない。

僕は男たちに犯されている。悲しさとお尻の激痛、息が苦しくて、まともに思考が働かない。

この世に地獄があるとすれば、今の自分は間違いなくそこにいる。


「はぁ……はぁ……気持ちいいぜ。喉の奥まで吸い込んできやがる!」


「ぐぅ……がっ……げほっ……」


「本当に腰が止まんねーよ。おい、見ろよコイツ俺らに犯されて勃起してやがる!」


「うほぉ、まだガキなのにいい物持ってんじゃねーか」


ただ痛く、気持ち悪いだけなのに……なんで……裸の女の子を見たわけじゃないのに!

僕はこの二人に犯されて生物として興奮しているのか。

とてつもない嫌悪感が脳を支配し吐き気が来る。

しかし吐きたくても、息をするのもやっとで生きる為の反応のみが体を支配している。

もう、この場から逃げ出すのを考える事すらままならなかった。


「さぁ、行くぞ……中に……うっ……」


「俺もイキそうだ……」


快楽に支配された男たちは、体を硬直させ下半身から白い液体を僕に注ぎ込んだ。

お尻の穴と口に、マグマの様な熱い液体を注がれた。

二人の男たちは僕を犯したモノを引き抜いた。

僕は肺に酸素を取り入れる為に必死に呼吸をする。


「げほっ、げほっ……おぇ……」


生臭い匂いが鼻を突き抜け気持ち悪くなる。

僕は吐き出しそうなった瞬間、男に口を塞がれた。


「ダメダメ! しっかり飲まなきゃ、せっかく出してあげたのに勿体ないでしょ?」


僕は飲み込みたくなくても、溺れて海水を飲んでしまう事と同じで男の精液を飲み込まされた。


「ゴフッ。んっ、………はぁ……はぁ……」


体が空気中の酸素を必死に取り込み、心臓が激しく鼓動する。

全身が熱く口元は唾液と精子で汚れ、傷ついたお尻からは男が出した精子と血が流れ出る。

男たちは犯した僕を眺めながら言った。


「はい、よくできました。アニキ、コイツ新しく飼いませんか? 容姿もいいし壊れるまでは……」


「ふぅ、そうだな。こんな上物は滅多にで会えないししばらくは飼うか。」


「そういえばアニキ、コイツの持ち物調べたら5万リネアも持ってたんですよ。ついてますね!」


「あぁ、一石二鳥だな。ユキのせいで散々だったが金も手に入るなんてな。飯でも食いに行くか」


「そうですねアニキ」


男たちは楽しそうに食事をしに外へと向かった。

放心状態になった裸の僕は、ただ地面をずっと見つめていた。

体の激痛よりも何か大切な物を失った虚無感に支配された。

この日から僕は人を信じる事をやめた。

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