第12話
駄目だ。
そんなの駄目だ。
君がいなくなったら、僕は。
ぼくは何の為に生きればいいんだ。思い出なんか、何も要らない。記憶も要らない。今が一番大切だって、そう気付かせてくれたのは汐音じゃないか。何処へも行かせない。涙なんてもう、流させやしない。僕が幸せにすると決めたんだから。いつだって一緒に居た。言葉を交わさなくとも、汐音が思っていることはわかる。
逃げ出したいんだ。恐いんだ。今にも足が竦んでしまいそうで、それなのに強がりで。僕に弱い所なんてひとつも見せたことがない。本当は、僕と同じくらい弱虫なのに。どうして、どうして君はそんな……悲しい笑顔をするんだい。
僕は、本当の汐音を知りたい。瞼を閉じた君に触れた。感情が、想いが、一気に流れ込んでくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます