第2話

 なぜ。


 なぜ彼女が選ばれるのだろうか。


 神はもうとっくの昔に〝死んでいる〟のに。村の皆は、形式ばかりに囚われていて、彼女の事など何一つ考えてない。

 命を簡単に投げ捨てようとしている。僕は大人になりたくなかった。あんな穢らわしい獣に成り果ててしまうなら。



 僕はいつも助けてもらってばかりで、彼女を助けてあげられたことは一度もなくて。彼女にとっての僕は、足手まといに過ぎなかったんだ。



 でも、せめて。

 せめて少しでも、僕は彼女が幸せになる未来を作ってあげたい。こんな結末は、誰も望んじゃいない。少なくとも僕は。



 命が散ってしまおうと、彼女を救い出してみせる。


 だって僕は、君の笑顔が好きなんだから。

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