第36話操られた生徒達
ドーベルを倒しにケルベロスのアジトに突入したら、男どもが魅了されて敵になってた。
何やってんのよあんた達!
ドーベルの魅了は自分に魅力を感じている者の精神を支配して操ることができる。
ドーベルは二十代後半の美女だし、胸元と太腿に大きなスリットが入ったエチエチな服装だ。
大方女の色香に惑わされたんだろう。
まったくもう、これだから下半身でしかものを考えられない男はダメなんだよ。
って、女の子も結構混じってるじゃん。
女の子まで魅了するとは……ドーベル恐るべし。
さすがはケルベロスの大幹部で公式ラスボスに認定されてる女、若い女の子にもモテモテね。
「キリカさん達は私を倒しにきたんでしょうけど、残念だったわね。この通り、貴方達を迎え撃つ準備は整えてあるわ。いくらキリカさんが強いと言っても、武勇にたけたガイアス王子に王国最強のシリュウが相手ならどうかしら? 私の見立てでは、王国を落とすのに一番の障害はキリカさん貴方よ。可愛い子を殺したくはないけど、私の邪魔をするというのなら殺すしかないわ」
えっ! ドーベルの目的は私ってこと?
なんてことだ……私が優秀過ぎたばかりに、ゲームより早くドーベルが出張ってきたなんて。
でも、
「あらあらあら、ケルベロスの次期首領と目されるドーベル様が、人数集めたら私に勝てるなんて浅はかな考えをお持ちだなんて、私が思っていたよりケルベロスもたいしたことなさそうですわ」
私に言い返されてドーベルが驚いてる。
鳩が豆鉄砲食ったような顔してるよ、ぷぷぷっ。
「キリカさん、貴方わかっているの? 確かに以前ガイアス王子には勝ったことがあるみたいだけど、シリュウとの戦いは逃げたらしいじゃない。二人とも貴方と出会ってからより修業を積んで以前より強くなっているのよ。その二人に勝てると言うの? それに正義の味方を気取っている貴方が、何の罪もない人を攻撃できるのかしら? さあ貴方達、やってしまいなさい。キリカさんを殺すのよ!」
私に挑発されて怒ったのか、ドーベルが魅了した魔法学院の生徒に命令した。
さてどうしよう、斬り殺す訳にもいかないし、とりあえず殴るとするか。
そう決めた私は、一番槍で向かってきた男子生徒を殴り飛ばした。
「ちょっ!? よろしいのですかキリカ様、相手は魔法学院の生徒ですよ」
「ええ、そうですね。ですが今は敵として相対しています。向かってくるならば戦うしかないでしょう。私達が負けたら王国はドーベルの物になってしまうのですよ」
「うう……確かに、その通りですわ」
マリーが焦った様子で問いかけてくるけど、向こうが攻撃してくるんだからしょうがないじゃん。
威圧はさっきから試してるけど効果がないし、たぶんだけど、魅了されてる相手には効かないってことなのかな。
だったら殺さない程度に攻撃するしかないっしょ。
「男女平等パンチ! 男女平等キック! 男女平等峰打ち!」
私は攻撃してくる生徒達を男の子だろうが女の子だろうが、男女平等に容赦なく殴りつけ蹴り飛ばし剣を打ち込む。
みんなごめん、でもね、これが戦いなのよ。
恨むならドーベルに魅了された自身の未熟を恨みなさい。
「さすがキリちゃん、女の子相手でもいざ戦いとなれば容赦なしですね」
「私、キリカちゃんのそんなところにも憧れてしまいます」
さすがはマリーにエルカちゃん、私の行動を肯定してくれてる。
ディアナもサラもヴィクトリアもうんうんって深く頷いてる。
みんなありがとう、みんながわかってくれるなら、例え他人に否定されようと、私は胸を張れる。
私達ズッ友だよ!
「ふふふっ、なら身分が上の相手ならどうかしら? ラファエル、アルベルト、行くのよ!」
一般生徒を全滅させる私を見たドーベルは、ラファエルとアルベルトをけしかけてきた。
ふん、そいつは好都合だ。
「四民平等パンチ! 四民平等キック! 四民平等峰打ち!」
私が容赦なく死なないよう適度に手加減した攻撃を加えると、ラファエルとアルベルトは錐揉みしながら宙を舞い、地面に落下した。
「キリちゃん、今のは少し私情が入っていませんでした? 四民平等を言い訳に殴っていませんでしたか?」
「あの二人は裏でキリカちゃんの調査をしてたから、頭にきてたのかな」
「そんなことはありません。あの二人は王族や宰相の子息という国の重要人物でありながら敵の手に落ちたので、これ幸……ゲフンゲフンッ、お灸をすえたまでです」
みんながジト目で見てくるけど気にしたら負けだ。
私は気になんてしないぞ。
さあドーベル、お友達も身分差も私には効かないぞ、次はどうくる?
「くっ、やるじゃないキリカさん。でも、ここまではお遊びよ。行け! ガイアス、シリュウ! 圧倒的な武を見せつけてやりなさい!」
そう、ここまでは遊びみたいなもの。
この二人とのガチバトルに勝たなくちゃ、私達に勝利はないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます