第14話 おばあちゃんとの会話。
弓弦から、着信拒否されてから
1週間たった。えるは、考えていた……
『あの時の幸せは
もうないんだ。』
涙も枯れた。想い出がやけに
遠く感じた。
弓弦くんには、もう……
えるは、久しぶりに外へ出た。
足取りも重い……何かを口に
しなくては
倒れてしまう。
(ゼリーでも。食べなきゃ。)
いつものスーパーマーケットへと
フラフラな足取りで出向いた。
『ゼッハー……ハー……』
1週間前から、えるは何も
食べてなかった。
この1週間の間、えるは自分を
責め続けた。
答えが出なかった。出口の見えないトンネルの中に、
居るかの様に……今のえるには
とてつもなく、そして
途方もない哀しみを背負い込んでいた。
スーパーマーケットに着くなり
入り口のドアに、しがみ付いた。
『はーーはーー……』
(何か……何か食べなきゃ、
死んじゃう。)
えるが、青白い顔をして
ゼリー売り場へと……フラフラな足取りで……向かった。
ウィダーを一つ手にすると、
レジに並んだ。1週間、何も口に含んでないので、
えるは今にも倒れそうだった。
レジの番が回ってくると、
小銭をばらまいてしまった。
《チャリーン。》えるは泣けてきた。
小銭を拾おうとすると。。。
親切な人が、一緒に拾ってくれた。えるは、御礼を言おうと
したとき……
『あれ?!あんた!』
えるは、視界がぼやけていたが
何とか、踏みとどまると
『…………?!』
『あの時のお姉ちゃんじゃないか?!』
えるは、ぼんやりとする視界が
元に戻ると……
そこには、あの時の
おばあちゃんが、立っていた。
えるは、おばあちゃんの顔を
見るなり……気が抜けた。
その場で、えるは
倒れてしまった…………
おばあちゃんは……
『おい!しっかり!!しっかり!!誰か~~?!』
スーパーマーケットの中は
大騒ぎになった。
えるは、薄れゆく記憶の中で
おばあちゃんに……感謝していた……。
おばあちゃん
ありがとう
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