第10話 帰り道に……

車の中で、果てた2人は、

手を握りしめていた……。


えるは、疲れて寝入ってしまった。弓弦はそんな、えるの

寝顔を見ながら、髪の毛を


撫でていた……。

『える……ありがとう。』



次の瞬間……弓弦は車のエンジンを掛けた。


『えるを、早く送り返さなきゃな。』


えるの、両親の事も考えて、弓弦は……速めに家路へと

送り届けようと……弓弦は


慣れたドライビングテクニックで

えるを起こさない様に



近道を走っていた。


しばらく、走っていると、

えるが、目を覚ました。


『??……あれ?』

『起きた?える。今送ってるからな?』


『へ……?もう?……。』


『クスクス。えるは欲張りだな?』

そのセリフを、寝起きに言われると、えるは先ほどの観覧車での


出来事に……顔を赤らめた。



『……もぅ。弓弦くんのエッチ』


『え?……えるだって。エッチだろ?クスクス。』


『知らない!もう!』



『ありがとう。える。お前を

大切に……するからな?』


えるは弓弦のその言葉を

寝ぼけながら、聞いていた。



えるは、うなずきながら、

『うん!!❤』と返事をする。



色々と……弓弦と甘い時間を

過ごしているうちに


えるの自宅へと着いた。

弓弦は、えるの手をそっと握りしめて、車から降ろした。



そして…………


弓弦はえるを抱き寄せた。

『俺……えるが好きだよ。

だから、大切にしていきたい。


俺を信じて、着いてきてくれない?』


意味が分からなかった、えるは

弓弦の顔を、覗き込んだ。



すると、弓弦は……

『俺なら、えるを幸せに出来る。

今度は、とびきりのデートに

しようか?

また、誘っていい?』




えるは、突然の言葉に……戸惑いを隠せなかった。


えるが、しどろもどろに……

なっていると、弓弦は



えるの頭を、ポンポンと撫でた。



『じゃな!また。えるお休み!』


『弓弦くん……お休みなさい。』



エンジンを吹かして、

弓弦は帰って行く……。



えるが、自分の唇をそっと

指で、触ってみると……


ドキドキとした気持ちが

よみがえってきた。




『私……弓弦くんと。……』



えるは、玄関を開けて元気よく

挨拶をした。




『お母さん、ただいまー。』




『……??……ん?お母さん?』




リビングに向かうと、

母親が眠っていた……。



えるの帰りを待っていたからだ。

そこには、手紙が置いてあった。





《えるちゃんへ。

お母さんは、貴方が料理を始めてから、少し心配していましたが、


迎えに来た彼氏を、そっと眺めてました。


お母さんは……その彼氏さんを

見て、安心しました。


いつか、お母さんとお父さんに


えるちゃんの彼氏さんと

話してみたいわ。お帰りなさい。


また、えるちゃんの笑顔が見れて

お母さんとお父さんは


幸せいっぱいです。』





えるちゃん……幸せを掴みなさい。と……言葉が締めくくられていた。



えるは、涙ぐむと……

その手紙を宝物にしようと思った。




母親に……そっと布団をかけるとえるは二階の自分の部屋へ

戻った。




お父さん、お母さん。

ありがとう。私ね……今幸せいっぱいだよ?



えるは、お風呂に入ると

首に……キスマークがついていた。



弓弦の真剣な表情を思い浮かべると……えるはドキドキが


止まらなくなり、




深呼吸をしてみた。

『弓弦くんとエッチしちゃった❤』



えへへ。




トキメキが、えるの心を

奪っていた……。







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