第7話 そして……。海へ。

弓弦の運転テクは、とても上手

だった。


《弓弦くん、、かなり慣れてる。》

隣の助手席で、えるは。

ぽや~~と、していた。



片手でハンドルを切る様は

えるにとっては、また違う一面

が見られて、ドキドキ感が


止まらなかった。



カーナビが、話す。

『後残り……300メートルで

目的地です。』



弓弦の運転で、とても景色の

綺麗な、ロマンチックな海に

着いた。


2人は、車を下りようとした。

弓弦は、何かを思い出した

かのような、そぶりを見せた。


えるは……『??』と思って

いると、


弓弦は、いきなりシートを

ガタッと倒してきた。


えるは、余りにも突然の事に

驚きを隠せなかった。



弓弦が、えるのシートを

倒してから、唇を重ねてきた。



えるは……心臓が口から出そう

な程に、緊張していた。


『……あ。あの。……』

唇が離れた時に、えるは弓弦に

問う。



弓弦の表情は、クエスチョンマークを、浮かべていた。


えるは……緊張の余り

目を閉じて、顔を真っ赤にしていた。


弓弦に頭を撫でられて、

さらにドキドキ感が高まってきた。



えるは……『

と、迷いがグルグルと回っていた。



弓弦がえるの、頬にキスをした

時に、えるは……心臓が

飛び出しそうになり、、、





と、ついに口に出してしまった。


えるは……少し涙をこらえながら弓弦に、抱きついた。



弓弦は優しくて、

『嫌だった……?える。』


『違うの!違うの弓弦くん。』

そう言葉を放つと、弓弦はえるを

強く抱き締めた。



『えるは……いい香りがするね?』

弓弦も、心臓がバクバクと鳴っていた。えるにその心音が

聞こえていた。


えるは、覚悟を決めた。





学生時代に、妊娠して中絶を

したことを、


えるは……弓弦に嫌われる覚悟で話し始めた。



話しが終わると、

弓弦はえるを、強く抱き締めた。



俺はえるを

嫌ったりしないから。


話してくれて、ありがとう。』



弓弦は、えるの顔をのぞき込み

……



と、えるに聞いてきた。

えるが、泣きそうになると

弓弦は、えるの顔にたくさん


優しくキスをした。



『える。好きだよ。愛してる。

俺だけを信用して……?

良いね?』



えるは……うなずくだけで

精一杯だった。


弓弦は、えるのシートをゆっくり起こすと

えるのサラサラな髪の毛に

くしゃくしゃっと手を伸ばして



『つらかったな?える。』


えるは……弓弦の広い胸の中で

いつしか。たくさん涙を流して

しまっていた。



えるが泣き終わると、

弓弦は場所を変えるために、

車のエンジンをかけた。



方向転換したかと思うと


ワンボックスカーは

遊園地へと、向かい始めた。



弓弦なりに、気をきかせて

えるを笑わせたかったからだ。



遊園地に着く頃には、

えるは……涙が消えていた。




えるは、楽しそうに

窓から見える景色に目をキラキラとさせていた。







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