第4話 弓弦くん……。

私は……次の日。


朝から買い物へ向かう。それは

弓弦くんへ、お弁当を作って

驚かせたかったからだ。



スーパーでは、所狭しと

色とりどりの野菜や果物が

並んでいた。



私は幸せいっぱいだった。



喜びを噛みしめていた。

レジで支払いを済ますと、



だれかから声をかけられた。


声の方向へと目を向けると、


元彼に遭遇した。




私は……荷物をエコバッグに

慌てて詰めて、



走ってその場から離れた。



私は……全速力で走り去る。

と……。元彼は諦めてくれたらしく。



追いかけては来なかった。



後ろを振り返る。誰も追って

来ない。




息がこぼれる。

【ゼーハー。ゼーハー。ゼーハー】


付き合っていた時は、


元彼の事を愛していたが……

今では、憎悪というか、、、


みたいなものすら感じる。





弓弦くんに、お弁当作らなきゃ。

私は……慌てて自宅まで

走ってその場から離れた。






こんな気持ちの良い日に……!!


私は自分の過去を呪った。

悔しかった。苦しかった。



同時に……赤ちゃんを産まなくて

よかった。とも思う自分がいた。





キッチンで得意料理をあれこれ

作っていると、お母さんが

やってきた。



『あら?える?!料理して……

どうしたの?』


持って行くのよ。お弁当を。』


私の変わりようには……母親も

何も言わなくなった。




お弁当を着々と詰め込むと

私は……ピンクの自転車を出した。



『行ってきます!お母さん!』


『はい!気を付けて行くのよ?

余り遅くならない様にね?』


『分かった~❤』




私は……前田大学へと自転車を

こいだ。


弓弦くんに食べて貰えたら。

気分は……最高!!



急な坂道を、ブレーキもかけずに、下ると。



前田大学が……見えてきた。




大学の駐輪場にピンクの自転車を

停めると、私は……急いで


弓弦くんを探した。



『はぁ、はぁ、弓弦くん……

……何処なのぉ。』



私は……その場で座り込んで

しまった。

いきなり、お弁当なんて、、、

いけなかったかな?



でも、弓弦くんはこう言ったわ。



【またね】って……。

もしかしたら、社交辞令なの?



浮かれてたのは私だけなの?




でも、手を繋いだから。でも……

でも…………でも……




頭の中の思考回路が……

】ばかりで


急に……恥ずかしくなってきた。




『どうしよう。お弁当……。』



不安感が……加速する。。。。

【自分で食べようかな?】



そうしよう!!



お弁当をキャンパス内の自然が楽しめる木製の椅子に

私は腰掛けて



お弁当を開けた。



その時……えるちゃん!!?

と呼ぶ声が聞こえた!



振り返ると、弓弦くんが立っていた。弓弦くんは、驚いていたけど

嬉しそうに、笑ってくれた。




『えるちゃん?もしかしたら俺にお弁当……?作ってくれたの?』


私は……顔を赤らめると

うつむいて

声を振り絞った。





『……うん。そうです。……』



『ありがとう。えるちゃん!!

一緒に……食べよ!』

『え……?』



弓弦くんは私向かい側に座った。




弓弦くんは、私の作ったお弁当を

じっくりと見ながらも


始終ご機嫌だった。




『これ!!旨そう!頂きます!』


と弓弦くんは、私の作ったお弁当に……舌つづみを

打っていた。




そして……しばらく沈黙して

彼は、ニコッッと笑って



『えるちゃん、料理上手だね?

また、作ってよ。凄くうまい。』



『俺……食べ過ぎて、太りそう

なんちゃってな?』



弓弦くんは……私の髪を

くしゃくしゃッッ……とすると。





『お礼に…………。』


私が……呆然としてると、

弓弦くんは、私の唇にキスを



軽くして……くれた。

顔が紅くなる。鼓動が聞かれちゃう!




弓弦くんは………

私の望みを叶えてくれる。



弓弦くんは、今度はドライブ

行かない?と、




デートに誘ってくれた。

憧れの助手席に座れるのね?




私は……やっと、弓弦くんの

事を好きだと、自覚を持った。




弓弦くんは、来週の日曜日に

家まで迎えに行くから。




と……優しいリードをしてくれた。



授業の単位を取る為に、

行かなきゃ。と…………

弓弦くんはまた、私の唇に




優しく……キスをしてくれた。





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