第48話 おはようなんかちょっとヒントをおくれ

 おはよう、ヨンバン。


 ちょっとこれ見て。


「あい」


【絶壁の上でトリックオアトリートって言って、去っていく正義漢で幼い時神隠しに遭ってた幼馴染が、突然ヒーローになって現れて、嘘吐きのヒロインがそれを見破るんだけど誰も信じてくれない。そうしてる間にハロウィンが終わって終了】


 というお話を二千文字で書こうと思うんだけれど、絶壁までヒロインをたどり着かせるために、子供のトリックオアトリート、いたずらをしかけたらいいという話なんだ。


「んで?」


 そのいたずらってどんなのがいいかなあと。


「残念ながら、トリックオアトリートの意味も知らない」


 おかしくれないといたずらしちゃうぞって言って、魔物の仮装をした子供たちがわいわいするの。


「わいわいって?」


 さあ? 玄関先にジャコランタンが置いてあるおうちに言ってドアをたたいてお菓子を要求するところまでは知識として知ってるんだ。


「あー、そっか」


 されたら困るいたずらってないかなあ?


「抜け道を探るなよ。取材しろ、取材」


 今の子供は親にコスプレさせられてパーティにお出かけする、くらいの知識しかないんだよ。


 いたずらをする子なんていないと思う。


「そーかー」


 ヒロインの家に上がり込んで、ユウレイみたく出たり消えたりして、時には自分とヒロインの思いでの写真を見つめたりして、ヒロインに追いかけさせるしかないかなあ。


「それいいんじゃない?」


 そう! それでいいかも! ピンときた。


「おお!」


 ありがと、ヨンバン。


 バームクーヘン食べる?


「うん」


 じゃあ、ジュウバンと食べてね。


「うん」


 行ってきまっす!


「あーい」

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