§13【メンテナンス中】

 時が過ぎ、あと数十分でメンテナンスが入る時刻まで俺たちの行動は続き、1度広間に集合した。


「よし、俺達は各10レベル上げの経験値小瓶を手に入れて、俺と乃亜がルリス達と同じ90レベルまで登りつめたぜ!」

「私達は買えるだけの分の回復アイテムと魔力回復瓶と状態異常回復瓶を買い揃えました。各20本が限界でした」

「手持ちと合わせて30本近くか……あのイベントは丸一日あるからな。途中で回復アイテムとか買えに行けないしな。出来るだけ消費系は使うのを避けたいところだが……」

「そうですね……」


 俺達は各アイテムなどをメンバーに均等に分け、配分する。

 そしてメンテナンスが迫り、俺達は強制的にログアウトされた。


 だが俺だけはそのままその場に取り残される。


「残ったな俺……プレイヤーが誰一人いない……なんか寂しいな……」


 リアルゲームプレイヤーの俺はこの世界に転生しているおかげで、メンテナンス中のサーバーに入っていられる。


 と、俺は街を歩いていると外へ出る門の近くに大きめな門が次々と組み立てられていく。

 まるで建築ゲームかのように。


「イベント行きの門……ってそのまんまだな」


 俺は近くへ迫り、門に手を触れてみるがまだ会場には行けないらしい。

 まだメンテナンス中なのでゲームにこのシステムが固定されていないためなのだろう。


 もちろんメンテナンスが終わればシステムは固定化され、きちんと触れることも出来るだろう。


「さすがの俺でも不正は出来ないか……でも俺にはレベル上げが出来るし、メンテナンス終了までレベル上げでもしとくか……」


 俺はクエストを受けずに森林地帯へ向かい、入口から奥地へと目に入ったモンスターを次々と狩っていく。


「ふぅ……99レベル……もう使えなくなるし、経験値小瓶はここで使っておくか……」


 ポケットから取り出し、小瓶を割るとレベルアップの感覚が数秒の間続いた。


 すると最近知った俺のである《アナウンサー》が脳内に声を届ける。


『レベルが110へと上がりました。100レベル上げ到達により、竜人のユニークスキルである《部分竜化》を獲得しました。そして《部分竜化》の獲得により、ステータスアップ縛りの解除が承認され、これからステータスが大幅に上がるようになりました』

「ようやく、竜人らしくなってきたな俺も……」


 初期のキャラメイキング時の竜人説明文に書いてあった『竜化』について思い出す。


 竜化のメリットは本来の肉体をさせ、ステータスを数倍、または数百倍まで上げることが出来る。


 そしてデメリットは竜化する場所が増えていくにつれて、体力消費が大幅に時間と共に削られていくことだ。


「各パーツ事に竜化は出来るが、例えか……序盤から積極的に使えるもんじゃ、無さそうだな。それにこの翼と尻尾は元から竜化してあるから、体力を削られていく心配無さそうだ……」


 竜化について考察しているととある疑問が生じた。


「この翼って飛べるのか?」


 前から少し気になってはいたが、《完全竜化》を獲得しなければ空を飛べないかと思っていた。


 これなら竜人の特性にもあってはいるが、さすがに俺自身しか飛べないとは思われる。


「こんなことを考えている暇では無いな……練習するか……」


 俺は背中にうんっと神経を研ぎ澄ませ、翼を動かし空に向かって力強く上下へ降ると少しずつ体が浮き上がり始める。


「出来た出来た。あとは空高く飛ぶことだな」


 より力を入れ、心の奥底から『飛べ飛べ』と願望を唱える。


 すると特に難なく空を飛べることが出来るようになった。


「キレイとは言い難いが、風は気持ちいな……」


 俺の視界からは空高く飛び上がるドローンのカメラ付きから撮影しているような感覚で映っている。


「確か、空を飛ぶモンスターをいるから飛ぶ練習も兼ねて、レベル上げするか」


 疾走感を出すために勢いをつけ、宙を飛び回り、視界に入ったモンスターに接近しては下へ叩き落とし、切り刻みを繰り返し、メンテナンス終了まで時間を潰した。



【あとがき】

 次回からはようやく本命の第一章【神獣卵争奪戦】が始まります!

 果たしてどこのギルドが入賞してくるのか! 

 瞳をギラギラとさせながらお楽しみ下さいませ!


 次回 §14【始まり】をぜひお読みになって、本作品を少しでも気に入って貰えれば幸いです!

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