§4【特別乱入モンスター討伐】
全員が揃った所でアカリアスは《
アンデッド族は即死攻撃を確率で放ってくるので即死耐性を身に付けるということはとても大切な事だ。
特に死んだらどうなるか分からない俺の場合は。
「「「《
「ルリス! 相手のヘイトを買えるか!?」
「容易いことだ! スキル《身代わり》!」
身代わりを使用したルリスの方を強制的に向かせるこのスキル。
盗賊とパラディンにしか獲得することが許されていない限定スキルだ。
では魔法とスキルがどう違うのか簡単に言うと、魔法は魔力と言うものを支払い、それに見合った魔法を放つこと。
そしてスキルは魔力を一切用いず、装備や職業にしかついてこない
しかし、ここから疑問が生じる。
そう、それは使えなくなったアイテムを違うアイテムに変えれば使えるのでは? という疑問だ。
だが、そこは心配しなくてもいいらしい。
この辺は運営も力を入れ、同じアイテムや同じスキルはいくら違うものに変えようが、出来ないようになっているようだ。
アンデッドケンタロスは背中に置いてある弓矢を引き、毒々しい紫色の液体で矢先を濡らし、放つ。
「ルリス! あれは《
アカリアスの鑑定により魔法の詳細が分かったルリスは、首にかけてある紫色の宝石のネックレスを握り、こう言う。
「スキル《毒無効》発動!」
ルリスのつけているネックレスが光だし、1日の回数制限のある貴重なスキルをここで消費する。
薄く透けている紫色の球体がルリスを囲い、《
「こっちだ! アカリアス、《
「《
「喰らえ! 大回転!」
俺の視界には他のパーティーと協力をしてアンデッドケンタロスを削っていっている仲間がいる。
そんな中、俺はただ剣を片手で持ち立っているだけだ。
こんなことをしているのは周りを見ても俺だけ。
何かに負けている
いつまでもこんなことをしている場合ではないことくらい、16歳の俺ですら分かっている。
だが、誰も死に対する恐怖感はあるはずだ。
しかし戦闘中の彼らはそんな恐怖感を捨て、必死に食いつき、立ち向かっている。
すると遠くから仲間の声が聞こてくる。
「乃亜! どうした!?」
「乃亜君!」
「乃亜!」
あぁ、俺を呼ぶ声が聞こえる。
「こんな無能でも出来ることはあんのかな……?」
「な、なんて!?」
「ニル! 乃亜はこう言ってっ危な! いる! 『こんな無能でも出来ることはあんのかな』って!」
「乃亜君! そんなことないよ! だって今日が初めてなんでしょ! 誰だって最初は立ち向かうのは怖いよ! それでも最初から戦える人なんてそうそういないよ! 乃亜君は……
アカリアスの声が俺を縛っている敗北感や恐怖感の鎖を次々と崩壊させていく。
「俺は何に怯えていたんだろうな……でもちょっと違うかもな……俺はゲームプレイヤーでは無くて……
「……? リアルプレイヤー? 何を言っているのだ?」
「乃亜君、ファイト!」
俺、ルリス、アカリアスが言う。
そして縛っていた敗北感と恐怖感が完全に消え去り、俺の体から真っ黒なオーラが滲み出てくる。
「全く、リアルプレイヤーは本当に怖いもんだな。確かあの女神からこう言われていたんだったな……ピンチな時は必ずこう言うことって……
『乃亜様の救済処置が発動されました。只今から
そんなアナウンサーの声が俺の脳内だけで鳴り響き、体内の筋肉や血液の流れが早くなり、肉体の限界を超えていく。
アンデッドであるケンタウロスが身代わりを使用しているルリスから目を逸らし、俺の方にヘイトを向ける。
「危ない! 乃亜!」
アンデッドケンタウロスも限界を超え、ポイズンアローを数百本を放ってくる。
空気を爆ぜ、空気を切り裂き、弧を描きながら飛んでくる。
だが、漆黒のオーラを放っている俺に当たる寸前で下へ落ちる。
「こんな程度の攻撃じゃ、俺には通用しない……《
鞘から剣を抜くと黒龍の黒炎が剣に纏わりついており、バチバチと空気が焼ける音がする。
俺は堂々とレッドカーペットの真ん中を歩くように進んでいき、ケンタウロスの前まで歩み寄る。
ケンタウロスが背中に背負っている刃こぼれが起きている大剣を振り落とす。
それを俺は片手で受け止め、血すら流れず、そのまま強く握りしめ、大剣ごとケンタウロスを持ち上げる。
「ま、まじかよ、乃亜……」
「乃亜君……」
「非力に見えるが、あんな力持ちだったか……? しかも今日始めたばっかだよな?」
ニル、アカリアス、ルリスが言う。
「この剣じゃ、一振りだけで真っ二つに出来そうだな……」
殺す抵抗を捨てたかのように漆黒の剣で横から切り裂き、有言実行をする。
すると運営のアナウンスが鳴り響く。
『特別乱入モンスターが討伐されました。参加パーティーに
「か、勝ったぞ!!」
「「「おぉ!!」」」
あれ、体が動かない……肉体の限界を迎えたかも……
俺は歓声が鳴り響く中、1人でその場に倒れ、意識を失った。
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