§3【初めてのクエスト】
森林地帯に入る前のところで他の冒険者パーティーがゴブリン退治をしている。
火炎魔法や水魔法、それにダガーナイフや大剣などを殺傷能力のある武器を振り回している。
「これがこのゲームの
「ニルさん、あれは何をしているんだ?」
「あれは詠唱魔法だな。魔力消費が多い魔法を使おうとするほど詠唱が必須になってくるんだ。まあ、レベルが上がると詠唱は不要になってくるがな」
「リーダー、早くしないと全部狩られてしまいますよ……」
「そうだったそうだった……皆、やるぞー!」
ニル、俺、アカリアスが言う。
頭から一瞬で本来の目的を忘れたのか、アカリアスが目の前の状況をそっと教えてやるとすぐに切り替えをして、片腕をあげる。
「じゃあ、俺は盗賊だし薬草でも集めてくるか」
「私はリーダーと乃亜君について行きます」
「ニルさんに戦闘を任せるとして俺は何をすれば……」
「乃亜は俺のサポートをしてくれればいいぜ!」
ルリス、アカリアス、俺、ニルが言う。
大剣を抜き構えるニル、高そうな杖を持つアカリアス、ダガーナイフを
軽く戦闘準備をしているとゾロゾロと棍棒を持ったゴブリン達がこちらに歩み寄ってくる。
「へっへっへ!」
「早速お出ましか! それじゃ、行くぞ!」
「《
やはり戦闘に慣れているのかニルはアカリアスの支援魔法を受けることを想定して、たった1人でゴブリンの群れに突っ込んでいく。
ゴブリンとニルが武器を重ね合わせると見た目以上の筋力でニルが相手の棍棒を真っ二つにし、剣先で両目を奪う。
「ぐぎゃー!」
「まだまだ! 《
赤く燃え上がり始めるニルの大剣が先程のゴブリンの体を焼き、そして上半身と下半身を分け、空気がバチバチと焼ける音が聞こえてくる。
「リーダー! 後ろです!」
「何!? これは……間に合わん!」
その声と共に俺は勝手に足が移動して胸ポケットに入ってあるサバイバルナイフを取り出し、相手のうなじを切り裂く。
血飛沫が俺の顔に降りかかり、せっかくの初期装備が血で染った。
「助かったぜ、乃亜!」
「勝手に足が動いただけだから、俺の意思で助けたわけじゃない」
「そんなことないぜ! 助けてくれなきゃ、防具が薄い首筋を狙われていたからな! とりあえず俺たちはここら辺のゴブリンを狩って、乃亜のレベル上げを手伝うぞ!」
ルリスが戻ってくるまでの間、3人の連携プレイが周りの目を引き付け、注目を浴びる。
「あの皮装備の子、今日初めてあの動きらしいぜ」
「凄いなあの子……あとでフレンド申請してみてぇな……」
と、そんな注目を浴び警戒心が薄くなっているとニルの肩の鉄装備を貫き、貫通した1本の矢が現れた。
「ぐはっ!」
「リーダー!」
「ニルさん!」
ニルのやられた声が聞こえ、俺とアカリアスがニルの方へ走っていく。
先にニルの元へ到着したアカリアスは回復魔法で受けたダメージを回復させる。
その後に俺は到着し、腰にかけてある鉄の剣を取り出し構える。
「た、助かったぜ……しかし誰の矢だ?」
「リーダー、これ……
「まさかとは思うがこれって……」
と、その時。脳内から奇妙な警報が鳴り響き、アナウンスが入った。
『森林地帯に特別乱入モンスターが出現しました。参加されたパーティーの皆さんには
「やっぱりな……」
「ニルさん、
「特別乱入モンスターはね、普通の乱入モンスターとは違い、
運営のアナウンス、ニル、俺、アカリアスが言う。
俺が特別乱入モンスターについて教えて貰っていると、そのモンスターが森林の奥からようやく姿を現した。
「あれは……
「ニル! やべぇのと遭遇しちまってこっちに連れて来ちまった!」
「真っ直ぐこっちに来んなよぉ!」
森林の奥からポツンと小さな狼人が現れたと思ったらパーティーメンバーのルリスだった。
俺達の方に一生懸命走ってき、あわよくばこちらにヘイトをプレゼントするみたいだ。
アカリアスの《
「ニルのさん!」
「分かってる分かってる! あれを倒さないと経験値が入らないってことは! ……って誰だよ、
「リーダー! そこじゃないですよ! 後ろ見てください! 皆さんすでに参加して戦闘をしてますよ!」
俺、ニル、アカリアスが言う。
すると突然ニルが止まりだし、大剣を構え、後ろをむく。
「よし、俺達も参加するぞ!」
「ニルのさん、やっぱり切り替え早いな……」
「リーダーの良い所でもあり、悪い所でもあるんですよ……」
「ニル、逃げるなんてずるいぜ」
「よし、お前たち! アンデッドケンタロス討伐の参戦申し込みを受諾するぞ!」
そんな掛け声と共に再びアナウンスが流れ始め、『参加を受理しました。戦闘準備に入ってください』と言う声が入った。
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