第15話


もともと、"みく"は訳ありの

捨て子、捨て置かれた子?だった。

小さな頃、山で死にかけていたが

傷の手当てをされ、一命を取りとめたのだった。

みくは自分の名前すら覚えておらず

その頃の記憶はあやふやだった。

お館様に拾われ推定8歳までとある村で

育てられた。

刀傷がある訳あり幼児だが

気まぐれからか育てる事になった

お館様。そのお館様もまた訳ありだった。


"道ゆく人"と"未知なる人"を

言葉遊びしながら考えた名前が

"みく"だった。

情勢は刻々た変わった頃……。

少々、おてんばに育った"みく"に

"鈴"のように可愛くなるように、という意味と、"凛"とした女子に育つようにと、

おてんばな"みく"から態度などを

あらため、しっかりした子になるように、

女子の身は男より転がりやすいが、

何事も丸くおさまるようにと、

色々な気持ちとたくさんの気持ちを込めて

"りん"と名付けたのだった。

     ***

お館様の話では、お茶屋の旦那が

店の仕入れ中、命を落とした為

おかみさんは一人でお茶屋を

きりもりするのが大変だという事で

"みく"から"りん"に名を変えて

小助と兄妹設定にし向かわせた。

一人前になったからお館様に

認められたと思い張り切る"りん"。

そんなりんを心配する兄役の小助。

護衛と連絡係の為、六郎に任務に

つかし、影ながら護衛をつけたが

気配に鋭い?みく"りん"に早々にバレ

他の仕事に行くとウソを言い、

お茶屋に付き添ったのだった。

     ***

情勢、世情、噂話をお茶屋で

集めながら、りんはおかみから

色々教わった。

食べ物、薬草、薬になる食べ物に

特化した"おりん"に成長した。

お館様が村の者に生きる為、教えてきた事は

身の回りの物を武器にし、身を守る事。

小助は、りんの兄として変なクセが

つかないうちに村から出し、

おかみのような"草"としての

仕事をする事となったのだった。

なんの村なのかは、りんは知らなかった。

    ***

とある処に嫁がされる予定の姫は、

美しい姫であるが、やんちゃで気が強く

わがままだと噂を聞いたお館様は

りんと小助に、"仲良くなれ"っと

いう内容の指示を与えていた。

無垢なりんは自然に皆から好かれ

姫様も裏表もなく、自然に話をする

りんに惹かれていくのだった。

      

イノシシの一件。

りんと小助は姫様と仲良くなり

3年が過ぎた頃。

いつものようにお茶屋に来ていた

姫様とりんたちは話していた。

突然大きなイノシシが、生まれて間もない

赤ちゃんと母に向かってきた。

姫様は親子をかばい腰の刀剣を

振り上げ一太刀あびせ、撃退。


日頃から美しい姫だったが、この日は特に

姫様に日の光があたり、その姿が

きらきらと輝いて見えたことから、

城下の民衆が姫様のことを「かがやく姫さま」

と呼ぶようになり、この呼び名が

人から人へと語られるうちに、いつからか

「かぐや姫」へと変わっていった。

しばらくすると、その美しい姫様が

初潮を迎えられ大人の女性へと

仲間入りしたのだった。

急遽、嫁ぎ先の選定に入り姫様の

周りはあわただしくなった。

ほぼ確定で、候補に上がった大名たちに

お館様は目を光らしたのだった。


嫁ぐ不安、大好きなおりんと離れる不安

色々な不安が押し寄せた姫様は

おりんに心情を打ち明けた。

おりんは、姫様から離れないと

言うように、涙を流す姫様の

背中をさすってあげたのだった。

    ***

姫様の嫁ぎ先候補は滅ぼされた国の

直属の家臣だった。

3つの大名家から攻撃を受けて

お仕えしていた国が滅亡して以来、

姫様の嫁ぎ先候補の城主は、とある国の

城主に認められ厚遇を受けていていました。


「あの方のためなら、命も惜しまぬが

あやつなぞには頭も下げぬ。」と

姫様の嫁ぎ先候補の城主は、

3つの大名の中でも一番の権力がある国の

言うことには耳を貸そうとしませんでした。


元の仕えていた国をを滅ぼした

3つの大名の中で一番の権力を持つ国に

対し、指示された政略結婚に

「あやつなど…虫が好かん。」と

一度は勧めてきた婚姻を断ったのだった。

姫様の事自体も調べずに断ったらしい。

だけど「まあまあ、仲良くせい。」と

仲をとりもつように、お世話になった

国の城主の意向もあり、姫様の

嫁ぎ先の義理の父となる城主はしぶしぶ

直系の息子と姫様の婚姻を承諾したのだった。


この政略結婚は、嫁ぎ先の国を

(大名の中で権力が一番ある国に)

従わせるための策略だった。

後々に脅威となる姫様の父の名声と力を

手に入れる為、または直属の配下にする為

姫様を嫁がせようとした。

(ある意味、姫様は人質とも言える。)

姫様の嫁ぎ先候補の父から承諾が

得られなかった為、嫁ぎ先候補の父が

懇意、お世話になっている国を調べあげた

大殿は、その国の城主に相談を

もちかけたのだった。

大殿は一番の権力者であり、表向き

相談と言っても従うしかなく

仲介として板挟みになりながらも

姫様の嫁ぎ先候補の父を説得したのだった。

無事に、姫様の嫁ぎ先として決まり

力を見せつけるかのように姫様を

一番の権力を持つ城主、大殿の

養女となってしまったのだ。

その結果身分的には、嫁ぎ先より

姫様の方が身分が高くなってしまったのだった。

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