第4話 少女皇帝とややこしい2人
教室は備え付けの机が横3列、縦4列に並んでおり、1つの机に2人が並んで座れるようになっていた。
「席は成績順になっている。机の角に名前が書いてあるからそれを参考にしてくれ。」
なぜか私たちのクラスは生徒会長が案内して、席の場所を説明している。成績順なら私の隣はアリスなので安心である。
「会長!」
「ん?どうした。」
私たちの後の席の子が何かあったようだ。
「私たちの席はどっちなんですか?」
「「「は?」」」
当事者以外の全員の目が点になった。
「えーと、あなたのお名前は?」
私はとりあえず並んでいる二人のうち女の子に名前を聞く。
「あ、私はクリスといいます。」
「じゃあこっちですね。で、あなたは?」
ついでに男の子の方にも聞く。
「私はクリスという。」
「…………はい?」
こっちもクリス君だった。机の角に書かれているのは家名はなく名前のみなのでわからなくなる。
「あ、そうだ。席順は成績順ですよね?会長、成績はどうですか?」
フリーズしている生徒会長に成績の確認を頼む。
「あ、そうだな。成績を確認……。」
生徒会長は手元の名簿を見て再び固まった。
「どうしたのですか?」
「ああ、ここに名簿があるので確認したんだが……。まさかのことが起こってな。」
「まさかのこと?」
クラス全員の頭に?が浮かんだと思う。
「ああ、実はな……、第7位クリス――――が、二人だ。」
「「「「「はいっ?」」」」」
「どういうことですか?」
不思議な発言のことを聞いてみた。
「うん、それがね……、クリス君もクリスさんも同率で7位だ。」
「「「「「……。」」」」」
開いた口が塞がらないとはこういうことを言うんだな。
「……ところで、お前平民か?」
「だったらどうなのよ。」
「ならば貴族である私に7位を譲れ。」
「……あら、理事長陛下は『貴族、庶民関係なく平等』って言ってましたよね。貴族だからと言って譲るのは平等じゃないですよね。」
「なんだと!」
「なによ!」
そう言っていがみ合う二人。
「……どうしましょうか?」
「うーん、陛下、どうしましょう。というか、なんとかできませんか?」
生徒会長が私に聞いてきた。先生かもっと上の人に聞いたら……って私が一番上か。
「じゃあ年齢順でどうですか?」
「私は14だ。」
「私は14よ。」
「「うぐぐぐぐっ。」」
まあ、そうなるよね。
「じゃあ誕生日の早い順で。」
「私は11月1日だ。」
「私は11月1日よ。」
「……まじか。」
隣でアリスが驚いてた。まあ誰でも驚くわ。
「それにしても、ここまで一緒だと双子みたいね。」
「「誰が双子だ!……あっ。」」
思わず私に二人して突っ込む。ほんとに双子みたい。
「まぁ、順位は次の試験で決まるだろうからいいとして、どっちがどっちに座るかは決めなきゃね。まず、利き腕は?」
「「右です。」」
「……じゃあ、籤を作るからそれで決めましょう。名前を呼ぶときはクリス君、クリスちゃんと呼べばわかるでしょ。――――はい、一方は右、もう一方は左と書いてあるからそっちに座ってね。」
二人は籤を引き、クリスちゃんが右で私の後、クリス君が左でアリスの後になった。
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