第141話 夏希は部屋の備品を揃える(2)
外部モニターのガイモ君を手に入れた夏希。
ガイモ君は只今第3形態の32インチガイモ君になっている。そしてそのガイモ君の顔は3人の手形と唾まみれとなっていた。
「これ大きくて見えやすいけど手で操作するの面倒だな。リモコンとか音声認識があれば便利になると思うんだけどなぁ」
夏希はガイモ君の顔に何度も平手打ちをしながら愚痴を漏らしていた。
「ガイモ君、お前はやれば出来る子だ。ほら、次のページに移ってごらん?ほら?」
「夏希……」
「ははは、天使にバージョンアップ出来るかメールしてみるよ。それで俺はね、このベッドとマットに決めたから2人も早く決めろよ。でないと何もない床で寝ることになるぞ」
夏希が選んだベッドはセミダブルでマットは低反発マットだ。別々で買ったので、質のいい物が手に入ったようだ。
「スズランは、これがいいんじゃないか?」
夏希は検索画面に戻して品目を入力し、表示させたのは見た目が豪華なハンモックであった。
「このハンモックは左右に三角ポールがあるから木が無くても使えるんだ。座ってブランコみたに出来るし寝心地も意外といいんだぞ」
スズランの目はキラキラと輝いている。
「おお!これは面白そうじゃな。ワレはこれでいいぞ。布団は何でもいいから夏希が選ぶのじゃ」
(冗談で言ったのに………まぁいいか)
今度は真冬が選び始める。見ているものは可愛らしい感じの物で、足付きで頭になる部分にアーチ型の柵が付いた物だった。どうやらこれに決めたようだ。
布団だが、夏希は黒でシックな物、スズランは全面にヒヨコが無数にプリントされたタオルケットのみ(夏だからね)、真冬は全てが緑色で黒い線でデフォのカエルが描かれたものだった。
「うわぁ、これだけで金貨18枚だぞ?その前に少し使ってるからあと金貨11枚で今日は終了だ。食器類とかは今まで使ってたのがあるから後回しにしてリビングを何とかしないか?」
3人は何も無いリビングを見ながら考えている。
「トバルの宿屋でニアが来た時に使ったマットとクッションがあるじゃろ?あれでいいのじゃ」
「おお!そう言えばあったな。じゃあ、クッションを追加で買うだけにしようか」
夏希はすぐさま同じクッションを2つ購入して、前の物と合わせてリビングに置いてみた。
「「「……………………」」」
広いリビングには、4畳用のラグマットと小さくて可愛らしい丸テーブル。そしてラグマットに収まっていない5つのクッション達。
「これは……でもクッションも追加で買ったから当分はこのままだな。その奥に長めのソファーでも置けば大丈夫だろ。真冬、ソファー選んでくれ」
タブレットサイズにしたガイモ君を手に持って調べる真冬。そして悩むこと約5分。
「買った 出して」
夏希はアイテムボックスから取り出し設置する。それは4人が座れる長さで綺麗な緑色をしていた。そして一人分毎に背もたれにデフォのカエルが色々な表情をして夏希達を見ているのであった。
(これは俺の人選ミスだ。我慢するのだ夏希。しかし良くこんなのがあったな)
「いいね 素敵」
真冬の美的センスは壊滅的だった。
リビングはもう不思議空間だ。
「ま、まあこれで良しとしよう」
諦めの早い夏希である。
「あと金貨2枚だな。ソファーに置くクッションでも買うか?今日はそれで終わりにしよう」
夏希がネットスキルを開こうとするとスズランから声が掛かる。そして嫌な予感がする夏希。
「クッションはワレが選んでもう買ったのじゃ。夏希、アイテムボックスから出すのじゃ」
夏希は「頼むぞ、頼むぞ、スズラン信じてるからな」とつぶやきながらクッションを取り出した。
そのクッションは丸くて丁度いい感じの大きさだ。手触りもいい。そして鮮やかな黄色で4匹のデフォのヒヨコが色々な表情をして夏希を見ていた。
夏希は無言でその場を離れダイニングにある椅子に座り、残ったケーキを食べながらコーヒーを美味しそうに飲む。そして窓に目をやり外を眺める。
夏希は現実逃避する。
「いいね 素敵」
「そうじゃろ。真冬もなかなかいいセンスじゃ」
2人は満面の笑みで話していた。
「夏希、ベッドを置きに行かんのか?」
(そうだ忘れてた。て言うか、部屋も見ないで買ったけど大丈夫かな。少しだけ心配)
「そうだったな。時間もあまり無いし急いで設置しよう。真冬、ソファーから起きろ」
いつの間にかヒヨコクッションを抱いてソファーに寝ている真冬を起こして2階に上がる3人。
階段を上がると休憩スペースがあり、その先にL字になった通路がある。両サイドに部屋があり、玄関側に3部屋、裏庭側に2部屋となっていた。
裏庭側は12畳サイズで玄関側の両端は6畳サイズ、ベランダ付きの真ん中の部屋は12畳サイズであった。
(裏庭側には休憩スペースがあるからね)
夏希はベランダ付きの部屋で、その両隣の部屋をスズランと真冬が使うことになった。
「うん、問題なく設置出来たな。あとは各自で稼いで買って行く事にするから頑張ろうな」
「任せるのじゃ。早く稼いで素敵な部屋にするのじゃ。買い物は楽しいのじゃ」
「素敵空間作る」
それから3人はリビングで部屋に何を置くかを話して盛り上がっていた。
「夏希お兄ちゃん、準備出来たよー!」
玄関からアンナが元気な声で呼びに来た。
「さあ、祭りの始まりだ!」
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