第134話 夏希がニアにスズランとルンバ(3)
ニアに想いに応え自身の想いを告白した夏希。
あれから夏希のスキルや仲間達の事を話したりとホワホワしながらの時間を過ごした2人。
今は夏希の部屋でスズランと真冬を呼び出し晩酌が始まっていた。
「真冬、明後日街を出ることにしたが問題ないか?移動は馬車組合に依頼する。食料は俺のアイテムボックスに十分あるから心配ない」
「問題ない」
真冬はストックしていた箸巻きを食べながら返事をする。ペンギンを抱きながら。(パーカータイプのペンギンに衣替えしてるよ)
真冬には以前晩酌の時にスズランの事は説明済みだ。その時の反応は「判った」で終わりだった。
「私も早く業務を引き継いで獣人村に行きます。夏希さんは女の子にモテそうですから」
ニアはギルドに長期休暇を出して追い掛けてくる気マンマンだ。(すぐには無理だろうな)
夏希はビールを飲みながらテーブルに向かい合って座る3人を眺める。スズラン、ニア、真冬は3人仲良く話をしていた。
「ぶふぉー!夏希がそんな甘いセリフを言ったのか?あのとぼけた顔で?ぐふふ、影から覗いて見てれば良かったのじゃ。失敗なのじゃ」
ニアは夏希との話をしているようだ。
「はい。最後に私の事を「愛おしい」って」
「ぶぶぶっー! やるな夏希」
「いや……さっきから全部俺の顔に吹き掛かってるんだけど…それもピンポイントで眉間辺りに」
真冬は突然動かなくなり宙を見ている。
「真冬?嫌な予感がするんだけど?」
「全員にメール ラブラブ夏希」
夏希は慌ててステータスからメールを確認すると途轍もない早さでコメントが増えスクロールされていく。その大半が鼎からである。
「真冬…許してくれ」
ニアはそんな夏希を見て笑い、ツマミにしながらビールを飲んでいた。とても幸せそうに。
「でも夏希さんのネットスキルは凄いにゃ。銀貨5枚までの物をなんでも買えるんですよね?この髪飾りもネットスキルで買ったのにゃ?」
「ああ、そうだ。また今度なにかプレゼントするよ。今日の記念にな」
「「ぶふぁっ!」」
真冬が無言で吹き出し、スズランは「アイツ今日は絶好調じゃ!」と吹き出し笑い転がっていた。
「ワ、ワレには無いのか?そ、その「ぶふっ!」絶好調記念日の貢ぎ物は?」
「だせ ラブラブ供物 ぶふっ」
夏希の眉間周りには、色鮮やかな物が張り付き
それからも4人は賑やかな晩酌を続けた。時間も既に真夜中と言っていい時間帯になっている。
夏希が終わりの雰囲気を出し始めるとニアが夏希に声を掛ける。
「夏希さん、このあと少しだけ女子会をしてもいいですか?場所は真冬さんが提供してくれました」
「それは構わないけど時間は大丈夫?」
「はい、今日は泊まるかもしれないとチェンリ院長に言ってますから大丈夫ですにゃ」
「「「………………………」」」
3人は各々に想像を膨らませていた。
「ま、まあ、それなら大丈夫だな。甘いお菓子と飲み物を準備するから楽しんでくればいい」
夏希はネットスキルからポッキー、チョコ、ポテチを買って飲み物と一緒に手提げ袋に入れて渡した。
場所は真冬の部屋に移る。
ニアは備え付けの椅子に、真冬とスズランはベッドに座りお菓子を広げてお喋りをしている。
話題は色々だ。「ニアは夏希のどこが好き?」話、真冬の仲間の話、スズランと夏希の出逢い話、など話題は幾らでもあり楽しく過ごしている。
ある程度してニアがスズランに聞く。
「スズランさん、あなたは私と夏希さんの事を気にして無いのですか?家族だから?」
スズランはニアのその質問を待っていた。
「ワレは夏希を愛おしく思っておる。ニア以上にな。だが今はニアに譲ってやる。ニアのその想いは夏希に良い影響を与える。とても大切な影響をな。
だから夏希と幸せになって欲しいのじゃ。絶対に夏希を裏切るな。悲しませるな。
ワレからのお願いじゃ。ワレの幸せは夏希が幸せになることじゃ。全てを夏希の為に使う」
スズランはビールを飲みニアに微笑む。
「ワレはニアのことも好きじゃ。だから正直に話しているのじゃ。仲良くして欲しい。お前も夏希と一緒で見ていて面白いかならな。ぐふふ」
ニアはスズランの告白に嫉妬を感じていた。
「スズランさん、私が夏希さんを想う気持ちはこれからも変わらない。誰にも負けない。あなたにも」
2人は睨み合い、そして笑い合う。
そこでスズランが爆弾を落とす。
「夏希はもう半分人では無くなっている。どうしてそうなったかは説明出来ない。だが元に戻すことは出来る。それにはニアの存在も不可欠だ。勿論、ワレの存在もな。それで元に戻ったとしても普通の人より遥かに長く生きる存在になる。ニアが死んだら夏希はワレが愛して守る。だからニアは遠慮せずに夏希と乳繰り合えばいいのじゃ」
ニアはその話を聞いてスズランに再び嫉妬する。
「あなたは夏希さんが全てなのね」
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