第96話 孤児院で屋台準備
商業ギルドで屋台申請をした夏希。
明日は孤児院の前で屋台をする。今日はその前準備で孤児院に行くのだ。
必要な物は全てアイテムボックスに入っている。材料は街で売ってる物は出来るだけ街で買ってきた。
あとはネットスキルで購入したのだが、作る数が多いので購入する手間が大変だった。
(使用限度金額が5000円なのでその間はビールとか追加で買えずスズランの機嫌が悪かった)
では出陣じゃ!
孤児院に到着じゃ!
夏希は中に入るとニア、院長、マリアナさん、子供達がワイワイと庭に机や椅子を準備していた。
「「あっ!夏希お兄ちゃんだ!」」
子供達が気付いて走り寄ってくる。
「今準備してるんだよ!」
「この椅子私が持ってきたの!」
子供達は今日を楽しみにしてた様で笑顔で元気いっぱいだ。(和むなぁ)
「院長、おはようございます。今日は宜しくお願いします。ニアとマリアナさんもね」
「夏希さん、おはようございます。こちらこそ宜しくお願いします。子供達は朝早くからこの調子なんですよ。ふふ、実は私もなんですよ」
院長も笑顔で嬉しそうだ。隣に居るニアとマリアナさんも笑っている。
「それじゃあ色々あるので手分けしてやりましょう。事前に打ち合わせした通り、大人4人がお手伝い役で別れて子供達主体でやりましょう」
商品のフルーツ飴と箸巻きは今日作り上げてアイテムボックスに入れておき、当日は箸巻きを軽く焼いて温めるだけにするのだ。
夏希は机毎に必要な物をアイテムボックスから出して置いていく。
各班の作業内容は以下だ。(大人3人には事前に説明をして試作もしている)
1班 マリアナ 果物を切って串に刺す係
2班 院長 溶かした水飴に果物を浸ける係
3班 ニア 箸巻きの材料を準備する係
4班 夏希 箸巻きを焼く係
子供達は15人居る。年長の4人を班長として班の振り分けをした。ただ果物の1班と2班が人気の様で班分けが大変であった。
1班は年長の猫族の女の子リンスちゃんが班長だ。マリアナさんが皆に説明をして後はリンスちゃんに任せて自分は後ろで見ている。
「バケツの水を桶に移して果物を洗うのよ。ミカンは皮を剥いでからね」
「「「 はーい 」」」
子供達は楽しくお喋りをしながら洗う。
「出来たわね。じゃあ次は……」
「ふふ、必要な数に分けて串に刺すの。イチゴは2粒、ブドウは3粒、ミカンは5切ね」
「もぅ、マリアナ先生。判ってたんだから言わないでよ。皆~間違わずにやるわよ」
「「「 は~い 」」」
「ごめんね。リンスちゃん」
子供達は間違わないように何度も数え直したり、隣と見せ合いながら果物を串に刺していく。
「出来た!見て、私が作ったの!」
「「私も!」」
出来た果物の串を手に持ってマリアナに見せてから他の大人達や子供達にも見せて回っていた。
2班は年長の犬族の女の子ワンピちゃんが班長だ。1班と同じ様にチェンリ院長が説明し後は任せる。
「鍋に砂糖と水を入れて煮込んで水飴になったものがあるからね、皆は1班が持ってきた果物の串を鍋の中でね、ぐるぐるしてね。水飴が垂れない様にしてね。熱いから気を付けてね。ぐるぐるした果物串をこの白いのに刺してね、水飴が垂れないようにね」
「「「 はーい 」」」
2班は火を扱うので年長の子供達だ。1本ずつ慎重にやっている。慣れてくると笑顔が表れ出来上がった果物串を眺めて喜びあっていた。
「「 凄い綺麗!キラキラしてる! 」」
2班の子供達も院長に見せてから他の大人達や子供達に見せて回っていた。
後半になると1班が終わって2班に合流し賑やかになった。2班の子が鍋で水飴をつけて、出来上がった果物串を1班の子が刺していく流れが出来ていた。
3班は年長の犬族の男の子ガンガンくんが班長だ。ニアが皆に説明して後は任せる。
「よし、全部細切れだ!やるぞ!」
「「「 おー! 」」」
ここは体育会系のようだ。
「「「 ダンダンダンダンッ 」」」
「あっ!洗ってなかった…まぁいいや…焼けばバレないぜ!」
やはり体育会系だった。
「終わったぜ!」
「見ろよ!粉々だぜ!」
「「 おー!」」
それは困る……
4班は年長の狼族の男の子ロイスくんが班長だ。夏希が説明し後は任せる。
「切った材料を樽にぶち込め!」
「「「 おー! 」」」
「かき混ぜろ!」
「「「 おー! 」」」
「片面だけ焼いて箸で巻け!」
「「「 おー! 」」」
「皆お疲れだ!」
「「「 おー! 」」」
ここは…体育会系と言うよりは海賊団だな。
1班2班は女の子が殆どで丁寧な作業だった。だが3班4班は大半が男の子だったから…
まぁ、箸巻きはお好み焼きみたいなもんだ。少々乱暴に作ってもなんとかなる。問題無しだ!
あとは当日にソースとマヨネーズを塗って完成だ。(多分大丈夫だ…)
作った数はフルーツ飴各300串、箸巻き300本だ。多いと思うが余った分はアイテムボックスに入れておけばいい。オヤツやお土産に使えるからね。
時間はもう夕方だ。お昼ご飯を食べてお昼寝もしたが、長い作業だった。でも子供達は今も元気に出来たモノを見て喜び合っている。
今日は最初から最後まで自分達でやったんだ。嬉しいし、いい思い出になるだろう。
「よし、今日の晩御飯は皆が作った箸巻きでデザートはフルーツ飴だ。食い放題だ!!」
「「「 わー!やったー! 」」」
子供達は大興奮だ。
今は孤児院の中で大人達だけだ。
「子供達は疲れてたんでしょ。あれだけ騒いでいたのに布団に入ったらすぐ寝ましたよ」
「ふふふ、ニア、マリアナ、ご苦労様。子供達は楽しそうでしたね。私もですけど」
「私も凄く楽しかったです。夏希さん、ありがとうございます」
3人は笑顔で頭を下げる。
「俺も楽しかったです。でも本番は明日ですよ」
「ふふふ、そうですね」
4人はその夜遅くまで楽しく話をしていたのだった。
(明日は起きれるかなぁ?)
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