第78話 夏希は森に行く

 ニアとの街デートと孤児院訪問を終えた夏希。


 街の北東にある孤児院。ここは元々定員10名の所を今は獣人の子供達15人が住んでいる。街から出る予算は定員の10名のままで、定員と予算の増額を役所に提出しているが却下されていおり、孤児院の生活環境に影響を及ぼしている。


 夏希はその現状を少しでも良いものにしたいと思うが妙案か出る事は無かった。その後、スズランからの助言もあり無理をせず自分が出来る事を確実にする事に決めたのであった。


 宿屋での朝。


「ふぁ~、昨日は休んで色々したから少し疲れたかな?でも働かないとな!」(体力強化されてるから一晩寝たら体は回復するんだよ?ただ精神面の疲れが取れないんだよね)


 夏希は起きてギルドに行く準備を整える。(今日はニアにチョコとチュ○ルをあげようかな)


 夏希はアイテムボックスにあるお菓子の在庫を確認して追加が必要そうな物をネットて購入した。


「最近ネットスキルを適当に使ってる感じだな。殆どスズランのビールとツマミかニアのお菓子買ってるだけだし。一度整理しておかないと後で困りそうだな」


 朝食を食べてギルドに向かう夏希。


 ギルドに着いた夏希は受付にニアが居る事を確認して違う受付嬢の所に向かった。


「いやいや、夏希さん。毎回このやり取りをしないと行けないにゃ?私が専属なんですからギルドに来たら真っ直ぐ私の受付に来るにゃ」


「はぁ、自称の専属嬢な。今日も可愛いなニアは…」


 夏希はお菓子の通い袋をニアに渡して受付前の椅子に座った。


「ため息付きながら誉められても…ああ、お菓子忘れて無かったんですね。ありがとうございますにゃ。でも、これだけ毎回頂くとお金払わないと申し訳け無いです。いくら払えばいいですかにゃ?」


 お金か…欲しいけど無理なんだよなぁ。


「お金は要らない。また街でも案内してくれ」


 ニアは少し照れている。


「あの、昨日は野菜とお肉をありがとうこざいます。皆美味しそうに食べてたにゃ。今日はどうしますかにゃ?またゴブリンですかにゃ?」


 どうしようかな?考えて無かったな…


「うーん、今日はオークにしようかな。また少し分けてあげるよ、子供達にも会いたいしな。昨日あげた肉が無くなりそうになったら言ってくれ。それまでアイテムボックスに入れとくから」


 そう言ってニアの返事も聞かずにギルドを出た。(ニアが遠慮するからな)


 街の外へ出て森に向かって歩いこうと思ったら、街を出て5分ぐらいで森の入口手前に子供達がしゃがんで薬草を探している姿が目に付いた。


 あれは宿屋の息子のアスザックに見えるな。


「おーい、アスザック。頑張ってるか?」


「ん?夏希兄ちゃんじゃん。今から森に行くのか?俺達は朝早くから薬草採取に来てるぜ。成果はあまり良くないけどな!」


 採取用の袋を見るとあまり膨らんでいない。まぁ、ここは森の手前の草原だからな。競争相手の子供達もいるし。(遠くを見ると同じ様に薬草採取している子供達が居る)


 アスザック達は男の子4人組だ。多分に同じ歳の冒険者見習い仲間だろう。装備は革の胸当てぐらいで武器は短剣だ。


「まぁ頑張れ。若者達よ!」


 夏希は右手を上げて歩き出した。(俺カッコいい?)


 今日はオークが目的なので、いつもより森の奥に入っている。多くの目撃情報の場所がこの奥にあるのだ。


 目撃情報の場所近くになると何組かの冒険者が居た。夏希は倒したオークをアイテムボックスに入れるので冒険者が居る事に悩む。


 どうする?もう関係無しにオーク入れちゃう?やっちゃう?バラしちゃう?ボク隠すの面倒なの。


 夏希はアイテムボックスをあっさり解禁した。(一応他の冒険者組とは大きく距離を取る様に、更に森の奥に入った夏希であった)


 オークは脂肪が厚い為、剣で致命傷を与え難い。夏希は今日も魔法で討伐する気である。


「水魔法も水刃ばかり使ってるから違うタイプも馴れておかないとな。オークには何がいいだろう」


 夏希は考える。


「考えたが他のタイプは無いな。ウォータージェットは場所を選ぶから水刃の方が使い易い。水魔法は攻撃に向いてないのかな?今度ギルドに行った時に誰かに聞いてみるか」


 それから暫くして5頭のオークを水刃で倒してアイテムボックスに入れ森を後にした。街に戻ったのは夕方だった。


「魔法だが相談出来る相手が必要だな。剣はラグに師事して貰えたから上達した。やっぱり1人では技術の向上は難しいだろうな」


 夏希は今後を考えていた。

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