第77話 幕間 バルバドス王国 スタンピード(8)
スタンピードによる魔物の進撃は留まることを知らない。激しくなる攻防は一体いつまで続くのだろうか。果たして街は助かるのだろうか…
乙女騎士団はグラスいっぱいの果実水を掲げている。
「「「 かんぱーい! 」」」
「 かん ぱい 」
街は今、お祭り状態だ。もちろん鼎達が居るこの冒険者ギルドも人が溢れて大賑わいだ。
「えっ?防衛戦?終わったよ。昨日」
今は冒険者ギルドで皆で打ち上げパーティーの最中だよ。食べてるよ。飲んでるよ。踊ってるよ。皆。
ふふ、聞きたいよね?あれからどうなったか。
どうしよっかなー?教えちゃう?
いや、教えなーい。また、あ・と・で・ね・!
「お姉ちゃん…また独り言喋ってるよ。怖いよ…」
ははは、あれからの出来事は以下だよ~。
あれからの戦闘もとても凄まじいものだったの。
最終的には街を襲った魔物の数は約2万を越えていた。街の防衛は4日も続いたの。ただ、約9割が中級以下の魔物だったので数は多かったけど何とか凌げたの。騎士団の頑張りも良かったわ。
それでも数の暴力は恐ろしかった。この防衛戦で500人以上の死者が出たわ。負傷者はもう数え切れない程でポーションでも治らない人も居るの。(無くなった手足は戻らないから…)
防衛戦の後半は、大型の魔物になると弓とかは効かないから武器を持っての地上戦に切り替わったの。勿論、私達も壁上から降りて地上戦に躍り出たわ。真冬は近接主体で桜さん、雫、私は中間距離主体で後ろを取られない様にして戦った。
そこで活躍したのが雫の従魔のスラ君なんだよ。触手で真冬を除く3人を完璧に防御してくれたの。だから私達も攻撃に集中出来たわ。真冬は1人で無双してた。
希少上位種のマッドミノタウロスは、なんと[ 女神の鉄槌 ]のスザンヌさんとビエラさんが近接戦で倒したの。(魔法使いなのに凄いね!)
あと街の事だけど飛行タイプの魔物に侵入されたの。北門前に来た飛行タイプは弓矢と魔法で打ち落として冒険者が倒したんだけど、他の方角からも飛行タイプが来ていた。魔法部隊は北門に集中させてたから弓矢だけで対応し打ち落とし漏れが出て侵入されたの。
街の中に配置されていた冒険者達が対応したけど住民にも多くの死傷者が出たわ…
教会では菜々が結界を張ったので全く問題なかったわ。当初の計画では魔物が侵入した時点で転移する予定だったんだけど、教会に居る転移者全員の判断で周りの住民を出来る限り集めて教会での待機に切り替えた。昴は飛翔で教会の周りのに居る魔物を倒していたわ。
こんな感じかな。
本当に激戦で冒険者も騎士団も街の住民も大変だった。
でも最後まで頑張って戦って生き残った。
勿論、死傷者はたくさん居る。
だから亡くなった人達の分も私達はこれから幸せに生きて行かなくてはいけない。
だから私達は悲しむのでは無く、笑って、食べて、飲んで、踊って、生きている事を、これから幸せになれる事を願って喜ばなくてはならない。
だから私達はこう言うの。
「「「 かんぱーい! 」」」
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