第69話 幕間 雫とスラ君

 私は[ 乙女騎士団 ]団員No.3の雫13才。


 今日は従魔となったスライムのスラ君のお話です。


 森の中の湖で出会ったスラ君は、とても可愛いんです。お肌は透き通る水色でスベスベなんです。毎日頬擦りしています。


「はぁ~、スラ君今日も可愛いね」


 朝起きての第一声が毎日これである。


( 雫 おはよ )


 スラ君は私に念話で返事をするんですよ。実は他の調教師と従魔は念話出来ないのです。(天使から付与されたスキルが特別みたいです)


 私が服を着替えて出かける準備をすると、スラ君は私の肩に飛び乗って来ます。(ここが定位置です)


 私とスラ君は何処に行くにも必ず一緒なんです。あ、トイレはさすがに1人ですよ。


 私のスラ君は可愛いだけじゃ無いんですよ。とても強いんです。出会って数日後、一緒に討伐に行って大丈夫かメンバーと一緒に森の手前の草原で確認したんです。


 相手は最強の真冬さんです。(手加減してくれるのかな…殺されそう…)


 スラ君は定位置の私の肩に乗ってプルプルしています。(こんな状況だけど癒されます)


 私の武器はショートソードてす。基本、補助魔法主体で風魔法の援護を含めての中間距離タイプです。なので防御用の武器になります。


「行く」


 真冬さんが棒手裏剣を構えています。(私、あれ避けられないんですけど…やっぱり殺されるんですか…)


 真冬さんは躊躇ちゅうちょ無く両手に持った棒手裏剣を放ってきました。(2つもなんてもう無理です!)


 私は何とか棒手裏剣の斜線上から逃れようとした時、スラ君が触手を2つ伸ばして、迫り来る棒手裏剣を弾きました。


「カンカンッ!」


 直後、鋭い音が響き渡りました。(真冬さん…本気で投げて無いですか?)


「スラ なかなかやる つぎ行く」


 ま、真冬さん!それ雷撃ですよね。いつもより「バチバチ」言ってませんか?


 真冬さんはこれも躊躇ちゅうちょ無く放って来ました。(私、痺れるだけで済むのかな…)


 雷撃が放たれ様とした瞬間、スラ君が触手を私の前に盾の様に広げました。


「バリバリバリバリッ」


 鋭い光と轟音が起きました。(スラ君大丈夫?!)


 私は目を凝らしてスラ君が広げてくれた触手を確認します。良かったです、何ともないみたいです。(スラ君の体液は純水なのかな?)


「ほほう これも防ぐ ではつ……」


「真冬!ス、ストップー。やり過ぎよ!」


「鼎 なぜ止める これは死闘だ」


「いや、真冬…これ模擬戦でしょ?なんでそんな威力全快なの?雫を殺す気なの?バカなの?」


「あっ…」


 真冬さん…その「あっ」は、何でしょうか?


「も、もちろん 知ってる スラ合格」


「はぁ、まぁ無事だったからいいけど…」


 お姉ちゃん…それで許すんだ…


「真冬ちゃん、スラ君が弱かったら雫ちゃんが死んじゃうところでしたよ。反省しないとね!」


 桜さんだけですね。私の味方は…


「スラ 強い 判ってた」


 真冬さん…汗が酷いですよ…


「でも予想外の強さだったわね。これなら雫のボディーガードになるわね。宜しくね、スラ君!」


( 任せて )


 天使から付与された調教師スキルは、やはり特別製みたいです。


「お姉ちゃん、スラ君が任せてって言ってるよ」


 スラ君の念話は調教師の私にしか聞こえないんです。(皆にもスラ君の可愛い声聞かせてあげたいな)


「これで雫の防御を気にしなくても良くなるから、私達の戦闘力は上がるわね」


 私はスラ君が皆に認めて貰えてとても嬉しくなりました。


 ふふ、私のスラ君、可愛くて強いスラ君、一緒に居られる時間がこれでまた増えるね。

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