第63話 幕間 乙女騎士団 No.3 調教師の雫

 私は高口しずく13才の女の子。


 バルバドス王国の冒険者で4人組「乙女騎士団」のメンバーです。(因みに団員No.3です)


 リーダーは私のお姉ちゃんなんですよ。あとは喋り方が面白い真冬さんと、団員の中で最年長の桜さんが団員です。


 私達は街の外に行って魔物の討伐をしてます。最初はとても怖かったけど、3人がとても強いから安全に討伐出来て、今は割りと平気になりました。


 一番強いのが真冬さんです。忍びスキルが凄すぎるんです。小さな体で素早く走り回り、影縛りで魔物を押さえ込んだり、雷撃で麻痺や即死させたりと、もう無双状態なんですよ。


 お姉ちゃんと桜さんは火魔法で魔物を丸焼きにするんです。(その時の桜さんの目が少し怖いです)ただ森の中なのでやり過ぎには注意ですね。


 私は補助魔法が使えるので皆の身体強化や相手の物理耐性や魔法耐性を下げたりして援護します。(風魔法も使えるのですが真冬さんが凄すぎて使う暇が無いんです)


 私は地球に居た時は、家で読書をするのが趣味でした。特にラノベの冒険ものが好きで本を読んでは「私も冒険者になってみたいな」なんて思っていました。


 それが今、現実になったんです。


 危険とは隣り合わせですが毎日が充実していてとても楽しいです。偶に怪我をしますがポーションで治るので、痛いのを我慢すれば平気です)


 あと、私がこの世界に来て特にやってみたい事が1つあるんです。


 それは従魔を得ることです。


 魔物を仲間にして一緒に冒険して力を合わせて魔物を倒したり、ご飯を食べたり、お風呂入って1つのお布団で寝たりしたいんです。


 仲間にしたいNo.1はスライムです。あのプヨプヨした体が可愛くて堪らないんです。(あ~、早く私の可愛いスライムちゃんに出会いたいなぁ)


 でも、スライムは臆病でなかなか姿を現しません。それに調教スキルを使うにも、その術者と魔物の魔力が融和しないといけないのです。(相性みたいなもので、なかなか合うスライムに出会わないんです)


 冒険者になって4ヶ月程経った時、チャンスが訪れました。


 いつものように4人で森の奥まで歩いていると不意に私の魔力に呼び掛けるような感じがしたんです。


 私もその魔力を意識しながら感じる方へ向かいました。そして見付けたんです。運命の出会いなんです。


 そのスライムは森の湖のほとりで一匹だけポツンと居ました。大きさはソフトボールぐらいで普通よりは小さめです。色はとても綺麗な水色でした。


 私は一目でそのスライムが私の探してた仲間だと心で感じました。スライムもそう思って見ている気がします。


 そう思いながらスライムを見ていると、頭の中でスライムと意識が繋がる感覚が訪れました。(これが魔力の融和なんだ!)


 私はスライムに声を掛けました。


「私と一緒に居てくれませんか?友達になってくれませんか?」


 私はもうドキドキして胸が苦しいです。


(ボクはキミを待っていたんだ。ずっと…)


 頭の中にスライムの声が聞こえてきました。


 あぁ、この子は私が転移して来た日から、ここでずっと待って居てくれたんだ…


 その事がスライムの言葉と一緒に伝わってきたんです。


「ずっと1人で待っててくれたんだね…ありがとう…」


 私は涙を流しながらスライムに近付いて抱き上げました。


 スライムは触手を伸ばして私の涙を拭いてくれました。


(雫の涙はしょっぱいね)


 その言葉を雫に送りながら…


 これが私とスラ君の出会いだったんです。


 これから、ずーと一緒だよ!

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