第52話 冒険者サラの実家の宿屋

 定食屋を出て宿屋に向かう夏希。


 夏希はサラに聞いた場所を思い出しながら宿屋を探した。30分は歩いただろうか。屋号は聞いていたので街を歩く人に聞きながらその宿屋を見つけた。


 宿屋は小さいが屋根はオレンジ色で玄関前には花がたくさん植えられており、お洒落な感じであった。(木造2階建てだ)


「こんにちわ~、部屋は空いてますか?」


 大きな両開きの引き戸は開いており、その先のカウンターに40代に見える男性居たので声を掛けた。


「いらっしゃい、大丈夫ですよ。宿泊ですか?」


 男性は優しそうな顔をしていた。(たぶんこの人がサラさんのお父さんだな)


「はい、実はサラさんに紹介されて来ました。1ヶ月程滞在予定です。宜しくお願いします」


「おお、そうですか。サラの紹介なら歓迎しないといけないですね。うちの宿は部屋は綺麗で料理も美味しいと人気なんですよ。是非、食事込みで泊まってください。1品サービスしますよ」


「ははは、判りました。食事込みでお願いします。一泊おいくらですか?」

 

「3食の食事込みで銀貨10枚になります。あと、小さいですがお風呂がありますのでゆっくりしてください。予約制なので事前に言ってくださいね。お風呂は銅貨3枚です。石鹸とタオルはカウンターで売ってますので必要なら言ってください」


 商売上手だな…でもお風呂があるのは嬉しいな。(宿賃は高いほうになるかな?)


 夏希は取り敢えず10日分の宿賃を払った。(手持ちがもう殆ど無いんだよ!1ヶ月分って言っといてごめんね)


 宿泊の手続きが終わり部屋に案内された。2階の角部屋だ。部屋の扉には[ウサギさんの部屋]と可愛らしい木札が掛かっている。(どう反応すればいいの?)


 中は6畳位の広さだ。可愛い黄色のカーテンで、お洒落なクローゼットに可愛い木椅子、ベッドは猫足で布団には真っ白で可愛いウサギのパッチがしてある。


 ……ホントにどう反応すればいいの?


「ははは、この宿はほぼ女性客なんですよ。嫁が可愛いものが大好きで、色々やってたら女性客が殺到しました。お風呂も可愛いですよ」


 お風呂入るのちょっと怖いな…


「まぁ、男性客もごく稀に来ますから気にせず泊まっていってください。あ、あと暇な時間があれば娘の話し聞かせてくださいね」


 そう言うと、サラ父親は部屋から出ていった。


 宿屋変えようかな…


 夏希は可愛い木椅子に座わり、これからどう行動するかを考えるのであった。


 今日はもう夕方だし明日から行動開始だな。まずはギルドに顔を出してみよう。実は冒険者登録まだだしな。(素材売るだけだから要らなかったし住民登録は村でラグがしてくれたからな)


 お金がもう殆ど無いからまずは冒険者登録して依頼を受けないとどうにもならないな。


 それから色々やってみよう!


 夏希はその後、美味しいご飯を食べ、可愛いお風呂に入り、ウサギさんのお布団で就寝した。

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