第47話 夏希の決断

 天使カルレスから転移者は地球と異世界の2つの魂を持っている事を聞かされる夏希。


 夏希は頭の中で情報の整理をする。


 1.転移者の地球の魂を差し出す事でアンリちゃん達は助かる。

 2.必要とする魂の数が人によって変わる。

 3.夏希の魂は使えない。

 4.転移者は私を除いて10人

 5.アンリちゃん達全員に必要な魂の数は16

 6.マドリさんはもう助からない。


 勝手に他転移者の魂を使う前提で考えている、そんな自分が嫌になる。


 だが、助かる命ならば助けたい…


 他転移者の皆に何とか連絡してお願いしよう。ただ、昴や菜々はまだ小学生。地球での生活もこれからだったのだ。この2人は駄目だ。


 そう考えると母親の真奈美さんも子供達には必要だし、中高校生の3人も同じ様なものだ。


 お願いする人の選択に夏希は苦悩する。


 その選択によって助かる人数が変わるのだ。

 そして夏希は助ける人達の優先順位も選択しなくてはならない。


 夏希がどう選択するか悩み始めて3時間ほどが経った。夏希は天使カルレスに話し始める。


「カルレス、他の転移者達と話しが出来ないか?魂を貰えるようお願いする。」


「ふふふ、いいわよ。」


「ああ、そうそう。貴方にはボーナスをあげたいと言ってたわよね。魂の事は無理だけど他の事で何かお願いを叶えてあげるわ。その数は3つ。スキルの付与の数と同じ。私は3という数字が好きなの。」


「人間の主なる欲は[睡眠欲][食欲][性欲]の3つ。まぁ、勿論知ってるわよね。実は魂にも3つの欲があるの。[生存][関係][成長]の3つ。」


「この3つを人間が意識することで魂の質が変わるのね。私は魂の変化を見るのが大好きなの。だから3という数字も大好きなの。」


「話が長くなったわね。ごめんね~。まあ、だから3つ叶えてあげる。」


「他の転移者達との話がしたいのよね。いいわよ。ここは時間が止まってるからちょっと面倒だけど…この空間に連れてくるのは無理だから念話ね。」


 天使カルレスの体が一瞬だけ輝いた。


「はい、もう出来るわよ。頭の中で相手を意識すれば相手と回線が繋がるわ。個人のみでも複数とでも念話出来るからね。」


「それと、ここに貴方が来た時から今までの事はもうみんな把握してるから説明しなくても本題に入れるわよ。これでボーナスは2つ使った事になるから。ボーナスはあと1つだからよく考えて使ってね。」


 えない天使だ。


 頭の中でみんなを意識する。(繋がったみたいだ。)


 果たして、私が選択した事はどういう結果を招く事になるのだろうか。

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