第43話 幕間 私は癒しの聖女菜々9才

 私は倉橋菜々9才(聖女願望)


 今日も私に助けを求める声が聞こえるわ。


 向かうのは、そう!聖女と言えば[ 孤児院 ]


 お腹を空かした貧しい子供達。怪我をしても病気をしても治す為の費用も無い子供達。(それは偏見だな)


 菜々9才(聖女願望)が今から助けに行くわ。

 待っててね!


 菜々9才(聖女願望)は颯爽さっそうと街に繰り出した。


「今日は困った人を見かけないわね。まぁいいわ、孤児院に行きましょう」


 孤児院の前に着いた菜々9才(聖女願望)


 孤児院は思いのほか綺麗な建物であった。


 中に入ると孤児達は20人近く居る。その孤児達は割りと綺麗な服を着て、たくさん盛られたご飯を仲良く楽しく美味しそうに食べている。


「あら?思ってたのと違うわ」


 菜々9才(聖女願望)は目の前の光景に困惑している。(だからそれは偏見だね)


「まぁいいわ。貴方達、怪我はしてない?お腹は痛くない?熱は出てない?」


 押し売りの如く菜々9才(聖女願望)はまくし立てる。


「ねーちゃん、おまえ誰だよ?勝手に入ってくんなよ。迷子か?」


 孤児1人が言うと他の孤児達も一斉に振り向いた。


 菜々9才(聖女願望)は驚き尻餅を着いた。


「けっかい…………」


 それはとてもとても小さい声で発せられた。


 どうも自らのお股の聖域が危なかったようだ。


 菜々9才(聖女願望)は何とか立ち上がった。


「怪我と病気なんかしてねーぞ。なったらシスターがすぐ病院に連れていってくれるからな」


「それよりお前驚いて尻餅着いた時、漏らさなかったか?顔色悪かったぞ?」


 菜々9才(聖女願望)と孤児達の怪しむ目とが見つめ合う。その時間は2分。


「みりよう!!」


「先ほどの出来事は忘れなさい!!」


 そう言った後、菜々9才(聖女願望)は孤児院を後にした。


 初めての魅了魔法は、お漏らし隠蔽いんぺいに使われた。

 また結界も自らの聖域を守る為の1回のみだった。


 菜々9才(聖女願望)は今日も街を颯爽さっそうと歩く。

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