第41話 道中での出逢い

 2日目の夕方、休憩小屋で食事をしている夏希。


 遠くに見えていた馬車が休憩小屋に到着した。

 馬車は箱馬車で中に6人程乗れそうで、割りと大きめな立派な馬車であった。馬車の周りには冒険者達が見張りをしている。


 冒険者は屈強な感じの男が2人、斥候タイプの男が1人、魔法使いタイプの女が1人の人族の4人組だ。(見た目の雰囲気は中堅冒険者に見える)


 屈強な男の1人が近づいてくる。


「旅のものだ。そちらも旅の途中か?」


 男は少し警戒した様子で話しかけてきた。


「ああ、トバルの街まで1人で歩いて向かっている。私は夏希だ。馬車で1日戻った所にある獣人の村の住人だ」


「護衛依頼を受けているCランクパーティー[ 火竜の咆哮 ]のランブルだ。明日の朝までここで厄介になる。宜しくな」


 ランブルはそう言うと、私を問題無しと判断した様で仲間に合図を送った。合図を受け取った女冒険者が馬車の扉を開けて話をしている。


 中から裕福そうな身なりをした人族6人が出てきた。威厳がありそうな初老の男性、20代と思われる若い夫婦とアンナぐらいの娘、執事の50代の男性、メイドの20代女性だ。(見た目で判断してるが合ってるだろう)


 初老の男性が私を見て話しかけてきた。


「お邪魔するよ。私達は所要で隣の領に行っててね。その帰りだ。トバルの先のルーモスで商会をしている」


「まぁ堅苦しいのは嫌いでな。気軽に話をしてくれたらいいぞ。わはははは。ああ、マドリと呼んでくれ」


 そう言って家族の元に戻っていった。


 良かった。優しそうな人だった。親子も優しそうな雰囲気だ。(自己紹介忘れたな…後で挨拶に行こう)


 マドリ一家はメイドが出した折り畳みの机と椅子に座って賑やかに話をしている。執事とメイドは食事の準備をして冒険者達は周りの警戒と確認をしている。


 マドリさん達が食事が終わり食後のお茶を飲んでいる。


 挨拶に行こうかな。


 私はネットから可愛いラッピングがされたクッキーを購入して向かった。(クッキーなら怪しまれないだろう)


「先ほどはご挨拶ありがとうございます。私は夏希と言います。これクッキーです。美味しいので食べてみてください」


 そう言ってメイドさんにクッキーを渡した。


「わぁ、可愛いクッキー!おじいちゃん食べたい!」


 娘さんはアンナと良く似た可愛い女の子だ。髪をリボンで結びポニーテールにしている。


 孫にお願いされたマドリさんは、ニコニコしながらメイドさんから受け取ったクッキーを手渡している。


「アンリ、ちゃんとお兄ちゃんにお礼を言うんだそ」


 名前も似てるのね。


「お兄ちゃんありがとう!このクッキーとっても美味しい!袋も可愛いの!」


 アンリちゃんは「ホントに美味しいの!」と言って家族にも食べさせようとしていた。


「美味しいクッキーありがとうございます。私はアンリの父親のハザフで隣の妻がエミリアと言います。しかしこのクッキーは歯触りも香りも味も申し分ないですね。どこで購入されたのですか?是非、教えてください。これだったら人気になりますよ。必ず!」


 ハザフさんは何故か大興奮だ…


「あなた…恥ずかしいわ…夏希さんごめんなさい。夫は商売バカなんです。うるさいからちょっと気絶させましょうかしら?」


 エミリアさん…見た目は可憐なお嬢様なのに言葉はキツいのね。


 私はマドリさんに席を進められ、一緒に楽しく会話を楽しんだ。(いい家族で話も楽しいな)


「お母さん、この袋の紐も可愛いの!リボンにする!」


 アンリちゃんはリボンが好きな様だ。私はネットでリボンとシュシュを色々購入してアンリちゃんにあげた。


「わぁ、凄い可愛い!お兄ちゃんありがとう!」


「お母さん、見て見て!こんなに可愛いの!たくさんあるの!素敵なの!」


 アンリちゃんは大興奮だ!(性格はお父さん似かな?)


 マドリ家族との団欒だんらんは、アンリちゃんが寝落ちするまで続いた。


 今日は楽しかったな。

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