第28話 幕間 私は聖女菜々9才

 私は倉橋 菜々なな9才。小4の女の子。 


 1ヶ月前、天使によって異世界に舞い降りた。


 そう、これは私にとって神様のお導きなの。


 地球に居た頃の私は兄の部屋にあるラノベを隠れて読み漁り、その虜になったわ。


 特に聖女が登場する部分がお気に入りなの。


 病気の人には癒しを与え、貧しい人には施しを与える。また悪には勇者と共に戦う。


 そう、これが聖女!


 そして私はその存在になれるスキルがある!


 ここから私の聖女伝説が始まるの!


 菜々9才(聖女願望)は颯爽さっそうと街に繰り出した。


 街を歩いていると小さな男の子が1人泣いていた。


「どうしたの?お母さんは?」


「居なくなっちゃった…」


 これはいけない。子供が1人だけなんて危ないわ。


「 けっかい!!」


 男の子の周りに透明な膜が張り巡らされた。


「これでもう安心よ」


 そう言うと、菜々9才(聖女願望)はその場を後にした。


「ランド、ランド!な、なんなの?息子の周りになにかあって手が届かないわ。誰か助けて!」


 すぐ近くのお店で買い物していた母親が戻って叫んでいる。


 菜々9才(聖女願望)は街を颯爽さっそうと歩く。


 地面にくぼみがあり、菜々9才(聖女願望)は転けた。この先には大きな水溜まりがある。


「 けっかい!!」


 自身に結界を張り私は守られた。


「バシャッ!」


「うおっ!冷てぇ!」


 近くを歩いていた男性に、菜々9才(聖女願望)が自身に張った結界で、弾かれた水しぶきがその男に盛大に掛かったのだ。


「大丈夫ですか?まぁ、体が水に濡れてる。このままでは風邪を引きますわ」


「 ちゆ!!」


「もう大丈夫ですわ。治癒魔法を掛けたから」


 そう言うと、菜々9才(聖女願望)はその場を後にした。


「いや、服が濡れてそのままだから意味無いよな?それに濡れたのもあの女の子のせいだよな?」


 菜々9才(聖女願望)は街を颯爽さっそうと歩く。


 道路の脇から急に犬が飛び出してきた。


「 けっかい!!」


 私のお股のほんのちょっと先に手の平サイズの結界が張られた。


「よかったわ。私のお股の聖域は守られたわ」


 そう言うと、菜々9才(聖女願望)はその場を後にした。


 どうも犬に驚いてちょびっとチビったみたいだ。


「今日も何人かの人助けが出来たわ。一歩ずつ聖女の道を歩むのよ」


 菜々9才(聖女願望)、彼女はちょっとドジでお茶目な聖女(仮免許中)であった。

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