第22話 幕間 昴の大冒険(1)

 バルバドス王国で借家暮らしの10人は、たくましく生きている。


 安定した生活が出来て早1ヶ月。

 それぞれが思い思いの生活を送っている。


 かなえ、真冬、雫、桜の4人は冒険者組として街の外の森で魔物の討伐をしている。レベルは平均15ほど。冒険者の中では初心者を抜け出し、中堅の仲間入りを始めるあたりだ。


 ただ、天使から付与されたスキルはそのレベルを無視した威力で、魔法だけなら上位レベルになる程だ。


 4人はパーティー「乙女騎士団」を名乗り、女の子4人組で可愛いと他冒険者からも人気が出ている。

(騎士なんかじゃないけどな!)


 ここで不機嫌になっているのは真奈美の息子、昴11才(彼女募集中)である。


 昴はまだ小学生だからとパーティーには入れてもらえなかった。また、ソロで活動しようにも年齢制限が13才からで、結局は冒険者にはなれなかった。


 昴はその為毎日不機嫌だ。それはもう不機嫌だ。狭い庭に「かかし」を立て、真冬に貰った木剣でその不機嫌全てをぶつけていた。(因みに「かかし」の顔は昴が書いたかなえの顔である。(かなえに特に反対されたみたい))


 今日も朝からバシバシとかなえ人形を木剣で痛め付け、心の怒りを静める。


「ふぅ、今日はこのぐらいにしといてやる」


 何故か上から目線の昴である。


 昴は颯爽さっそうと庭を後にした。(かなえ人形はボコボコである)


「今日は外に出て冒険だ!」


 昴は真奈美からお小遣い銀貨1枚を貰い、木剣を持って家を出た。そう、昴の外というのは街の外ではなく家の外、つまり街の中の事だった。


 そう!これから昴の大冒険が始まる!

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