第21話 獣人村での宴(祭りだ!」

 翌朝、昼過ぎに目を覚ました夏希だった。


 あれから1ヶ月経った。(あっという間だね!)


 病に伏せた子供達は、やはり破傷風であった。治療薬が効いて数日後には病状が良くなり、一週間も過ぎると歩けるまでになっていた。一応安全をみて1ヶ月は安静にさせていた。


 その間はネットからゼリーや桃缶を買って食べさせたり、暇潰しになると思い絵本や簡単なオモチャをあげた。(けん玉やお手玉やボールなど(玉ばっかりだな!)


 ラグ夫婦には感謝され、加治屋のオヤジやネネさんからは溢れんばかりの野菜と感謝を共に貰った。(もう溢れんばかりの量の野菜なんだけど…)


 村を歩けば会う人皆からも感謝の言葉をもらった。(子供からはお菓子の催促だったけどな!)


 村人には薬の入手先について説明することになっていたので天使の部分ははぐらかし後は殆ど説明した。(村人はいい人ばかりだからな)


 もちろんネットスキルについても説明した。(子供達に珍しいお菓子をあげてたから薄々何かあるとは思ってたみたいだけど)


 なので!今日からネットスキルは解禁だ!


 レベルアップでMAXも50円から500円に爆上がりしている。


 500円って凄いよね!以外と何でも買えちゃうんだよ!

 この間なんか焼き鳥とビールを買ってラグ夫婦と飲み飽かしたんだ。(サーラさんはなんと酒豪だった)


 アイテムボックスの中には、ビール・日本酒・ワイン・ウィスキーを買溜めしている。これは大変だった。子供達が駄菓子屋の再オープンを熱望した為に、その購入費用がバカになら無かったのだ。(アンナちゃんには幾らでも買ってあげるけどな!)


 使用限度金額は1日5000円なので、まぁ、買えることは買えたかな。


 まぁ、説明はこれぐらいにして…(誰に?)

 今日は病に侵された子供達も全快したので、子供達の快気祝い&私の慰労&歓迎会を行うのだ!(祭りだ!)


 朝から村の中央広場には、村の女性陣が忙しそうに祭りの準備を行っている。各家庭から得意料理を持ち寄って騒ぐのが、この村の祭りスタンダードらしい。


 広場には色取り取りの敷物で覆いつくされ、長机や丸机など様々な机が置かれている。(地べたに座るタイプだな)


 子供達は待ちきれないのか女性陣の周りを走り回ったり、敷物の上にあがり転げ回ったりしている。


 その中には元気になったアンナちゃん達も居た。


 昼前になり祭りが始まった。私はラグ夫婦とザック夫婦、ネネ夫婦とで卓を囲んだ。(子供達は皆、好き勝手に歩き回り食べ物や飲み物を摘まんでいる)


「「「かんぱーい!」」」


 始まりの挨拶など無くあちこちから乾杯の声と共に楽しそうな声が聞こえてくる。


「夏希よ、今回は本当に助かった。ありがとな」


「ラグ、もうお礼は何回も聞いたからいいよ~」


「いや、私の息子も見ての通り元気になった。もう駄目かと何度思ったことか… 子供が居る幸せな生活に戻れてどれ程嬉しいことか…」


 ネネさんの息子カイトは、他の男友達と食べ物を片手に持ち走り回っている。その様子をネネさん夫婦は暖かな目で追っている。


「ネネさん、良かったですね。私も元気な子供達が見れて嬉しいです」


 ネネさんの旦那はラグと同じ様な体格で顔付きも何処かの盗賊の首領か?な30才位の男だった。(名前はダン)


「ふふふ、今日は楽しいわ。子供達も楽しそうだしいい日ね。ランカも飲んでる?」


 ランカさんはザックの嫁さんだ。ザックと同じ熊族だがネネさんと同じぐらいで小さくて可愛い。ただ、ネネさんとは一部装甲のデカさが雲泥の差だ。


 「夏希、そこに正座だ!」


 なぜわかる!


「いや… 何も言ってないんですけど…」


「今、ランカと見比べただろう。胸をな!」


 バレてる…


「いや、サーラさん、ネネさん、ランカさんとみんな「綺麗だなぁ」って見てたんですよ」


「ふぅ~ん、まぁ許してやるか」


 危なかったぜ!(ネネさんから蔑みの目で叱咤されたのはご褒美だけどな!)


「夏希お兄ちゃ~ん」


 アンナちゃんが駆け寄ってきて膝の上に座ってきた。


「夏希お兄ちゃん、お祭り楽しいね!いっぱい食べてお腹こんなになっちゃった」


 アンナちゃんは可愛いお腹を擦りながら笑っていた。ラグもサーラさんもその姿を見て笑顔だ。


「そうかぁ、よかったね。そうだ!アイス出してあげるから友達呼んでおいで」


「アイス?お菓子なの?」


「ああ、とっても冷たくて甘いお菓子だよ」


「ほんと!アンナ呼んでくる!」


 アンナちゃんは膝から飛び出して友達を呼びに行った。


「夏希は珍しい物を次から次へと出してくるな。そうそう!ビールあるか?あれはのど越しが良くて旨い!」


「ラグは飲み過ぎてないか?大丈夫か?出すけど…」


 私はアイテムボックスからキンキンに冷えたビールを数十本机の上に出した。


「変わった容器ね?これはエールなの?」


「ネネさん、これはエールに似てますがホップというものが入っていて、苦味とキレをのど越しで味わうんですよ。皆さんも飲んで見てください」


 ネネさん夫婦、ザック夫婦も手に持って飲み始めた。


「ぷは~、これは旨いな!」


「そうね、よく冷えているのがまたいいわ」


 好評だな!ついでに他の酒も出してみるか?


「これはまたビールと違ったお酒です。ワイン、果実酒は判りますよね。あと、これは穀物から作った日本酒とこれが蒸留酒のウィスキーです。飲み比べしてみたら面白いと思いますよ」


 机の上は様々なお酒でいっぱいだ!


 まだまだ祭りはこれからだ!

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