第20話 アンナの治療
夏希は村に向けて走っている。
ネットスキルのレベルが上がって本当によかった。少し賭けのような所があったので心配だった。
今は走りながら頭の中でネットを展開して薬を検索中だ。(レベルアップの恩恵で出来るようになった)
種類が沢山あるな…ペニシリンがいいと思うが注射タイプだから悩むな。(この世界では、注射は無いだろうから)エリスロシンの抗生物質にするか。これは錠剤だから村人も受け入れやすいだろう。
夏希は使用限度金額から3000円分の抗生物質を購入し、アイテムボックスに保管した。(あと2000円購入出来るが他で何か必要になるかもしれない)
村まであともう少しだ。夏希は昨日からの連戦と寝不足の為、意識がもうろうとしている。だが、何とか頑張って歩みは止めていない。
「がはっ!」
突如、右足の太ももに衝撃が走りそのまま倒れた。見ると裂傷が出来て血が流れている。
「村まであと少しと思い気が抜けていた…」
夏希の目の前には1体の魔物がいた!
「くそ、なんだよ角ウサギかよ!こんなザコに…」
サクッと、キエ○斬で倒す。ポーションはもう無いし村まであと僅かなのでこのまま進んだ。
「おし、戻ってきたぞ!」
時間は昼の3時だ。充分間に合っただろう。中央広場には昨日と同じように村人が集まっていた。
「夏希が帰ってきたぞ!」
私に気がついた村人達が心配そうな表情で見ている。
「薬の準備が出来たぞ。これで大丈夫だ!」
村人達は皆喜び、誰ともなく抱き合ったり、跳び跳ねたり嬉しそうにしている。
「加治屋のオヤジとネネさんは?薬を渡したい」
「ああ、子供の看病で家に居る。森に行く前に貰った薬で少しだけだが楽になったみたいだ」
答えたのは猟師仲間のザックだ。
「そうか、よかった。ザック、悪いがこの薬を2人の家に届けて渡してくれるか?4時間毎に1粒飲ませてくれ。即効性は無いから焦らずに看病して病状が良くなっても1ヶ月は飲ませ続けて欲しい。」
「判った。直ぐに届けてくる」
ザックは急いで走って行った。
「私はアンナちゃんの所に行きます」
そう言って、ラグの家に向かって走った。
「ラグ、戻ったぞ!アンナちゃんは大丈夫か!」
アンナちゃんが寝ている部屋に駆け込むと、疲れた表情の2人と若干だが落ち着いて見えるアンナちゃんが寝ていた。
「夏希、戻ったか!」
「薬は無事手に入れたぞ!これをアンナちゃんに飲ませてくれ」
ラグはアンナちゃんを優しく起こし、受け取った薬を水差しからコップに水を入れて飲ませた。
「即効性は無いがこれで大丈夫なはずだ。数日すれば回復するだろう。ただし、完治は1ヶ月は掛かると思う。薬は4時間毎に1粒だ」
「判った、本当に助かった。夏希ありがとう。」
「夏希さん、アンナを助けてくれてありがとう。こんなにボロボロになって… 大変! 足から血が出てるわ。村にあったポーションはもう無いからキズ薬と包帯持ってくるわ」
サーラさんは部屋から急いで出て行くと、すぐにキズ薬と包帯を持ってくる。そして、泣きながら「ありがとう」を繰り返し治療してくれた。
うん、このキズ。ザコの角ウサギにやられたなんて言いにくいな…
この後、私は疲労の限界で部屋に戻り、ベットにそのまま倒れこんで寝った。起きたのは翌日の昼過ぎだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます