第8話 スキルの検証

 天使によって1人草原に放り出された夏希。


「ちよっとこれはあんまりでないか?せめて何処か街の近くだったら…」


 夏希は広い草原に腰を下ろして周りを見渡していた。


 天使が結界を張ってくれてるから、この場所は安全なんだよな。まず状況確認しておくか。


「持ち物はと… リュックの中は着替えの下着とズボンとシャツが2着。小さい小袋があって中身がお金だな。1種類だけ大きめの金貨5枚(大金貨と呼ぶか)、金貨9枚、銀貨9枚、銅貨10枚あるな」


 お金の価値は判らないが、中途半端な枚数があるのは多分10枚単位で繰り上がるからだろう。


 そう考えると、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚。とすると、手持ちは大金貨6枚となるな(天使が使いやすく両替してくれたんだな。優しいね!)


 一般家庭3ヶ月分貰えた筈だから、1ヶ月大金貨2枚か… 1枚10万位かな?取り敢えずそう仮定しておこう。(銅貨100円、銀貨1000円、金貨10000円だな。憶測だけどな!)


 手荷物はこれだけか。あと身に付いてるものはと…なにもないな!(天使は優しいのか厳しいのかわからん!)


 次はスキルだな。


 状態異常無効は体が楽になったな。病気あったのかな?あと太っては無かったけど随分引き締まってるな。(若返りはしてないみたいだけど、元々童顔だったから20代位には見えるかもな)


 夏希はその場で跳び跳ねたり走ったりしてみた。


「お、これはいいな。強化魔法が掛かったみたいに力強く俊敏に動けるな!」(天使さんありがと!)


 次は水魔法だな。


 無詠唱で行けるみたいだ。魔法の種類は…うん、よくラノベあるあるのイメージ次第みたいだ。


 手を前にかざし手の平の先にバスケットボール大の水球をイメージすると…イメージ通りの水球が出来た。


 続けて薄い円盤にしたものが高速回転するイメージをする。飛ばすように手の平を上から降りおろすと、円盤は結構なスピードで草を刈りながら飛んでいった。


「うん、ドラ◯ンボールのク◯リンだな。(水じゃなかったけどな!)」


 水魔法は水分補給にも使えるし攻撃にも使えそうだな。


 最後はドキドキのネットスキルだ。これが使える見通しが立たないと飛ばされ損だしな。頭の中でネットスキルと唱えるとステータスと同じボードが浮かんだ。


「ん?ステータスとリンクしてるのか。あとでステータスボードも確認しないといけないな」


 ボード右上に(ネット)と表示がある。意識すると画面が切り替わった。


 表示内容は、購入・チャージ・チャージ品保留の3つのみでアッサリしたものだ。まずは購入をポチっとな!(押せないけど!)


 画面が切り替わり、残金・使用限度金額・MAXの表示とあとは検索入力する感じになっている。


「残金500円あるな。サービスは嬉しいけど遠足の小遣い並だな」


「使用限度金額は1000円と、これは一度に使える限度か、1日で使える限度かな?多分1日だろう」


「MAXは50とあるが…まさか単価50円までしか買えないとかじゃないよな?」


 ちょっと嫌な汗が背中を伝う。


 試しに検索でハンバーガーを入力。(頭の中でイメージ)


[ 該当するものはありません ] と表示された。


 あばばばば………夏希は錯乱した!


 状態異常無効スキルにより、すぐに夏希は復活したのであった。(単価50円までで確定だな…)


「レベルアップすれば大丈夫なはずだ。未来に期待!」


 と、夏希は現実逃避しながら他の機能を確認するのであった。


「チャージは判るな。チャージ品保留は… 品物とかでも換金してくるみたいだな」


 周りを見ても換金出来そうな物が無いのでリュックから下着を1枚取り出した。


「どうやってチャージするのかな?」


 と、思ったら手から下着が消えた!


 ボードで残金を確認すると500円のままだ。


「下着が消えたけど残金増えてないぞ?1円にもならないことはないよな。ラノベとかなら衣服は高いはず」


 最初からメニューを確認していくと、チャージ品保留に[ 男性用下着1 ]の表示があった。クリック(頭の中でね)すると[ 取り出し/チャージ ]が表示された。


 取り出しを意識すると手の平に1枚のパンツが!


「こ、これ… アイテムボックスとして使えるやん!」


 夏希はパンツを握り締めた右手を高々と上げ吠えた!


「我が生涯に一片の悔い無し!」

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