第7話 夏希異世界に立つ

 翌朝良く眠れた夏希は朝ごはんを軽めに食べた後ロビーに降りた。


 ロビーには既に中高校生組と親子組がソファーに座って話しをしていた。


「昴君、魔法剣士にするの?格好いいね!私はね、鑑定とアイテムボックスと火魔法にしようと思ってるの。美味しいもの沢山鑑定して買い溜めしてマジックボックスに入れておくの!火魔法は妹を守るためね」


 かなえ…うん、想像出来た。他はどうなんだろう?


「おはようございます。昨日夜に天使が来たみたいですね。スキル決まりましたか?」


「「おはようございます」」


「夏希さん、おはようございます。私も鑑定とマジックボックスは付与して貰おうと思ってます。商売には必要そうですから。あと1つは商談が上手く行くような商売スキル的なものを付与して貰うことになりました。昴は、剣聖スキル、光魔法、飛翔スキルです。菜々は、結界、治癒、魅了スキルの3つです」


 真奈美さんは無難な選択だな。昴は勇者になるつもりか?菜々ちゃんは守り主体かな?3人いい組み合わせかもな。ただ、菜々ちゃん… 魅了ってなに?ちよっとおじさん怖いんだけど…


「3つの付与全部まとめて忍びスキル」


 ん? 説明少ないな。忍びスキルを付与するには3つ分必要だったて事かな?それだったら凄いスキルになりそうだな。(真冬ちゃん若干ドヤ顔気味だし)


「わ、私は補助魔法.風魔法.調教です」


 雫ちゃん魔法使いたいって言ってたよね、調教?何を?


「あっ、調教はスライムとかペットに出来るかと思って…」


 そう言う事か…違うこと想像してたよ、ごめんな!


「皆さんいい選択だと思いますよ。私は状態異常無効、水魔法、ネットスキルです」


「ネットスキルいいですね!私もそれにしようかな~、悩む… 。でも、必要なものがあったら夏希さんに頼めばいいか!」


「ははは、かなえさん、いいですよ。ただ制約が多くて最初のうちは使い道がないかも知れないんですよ」


「地球の商品もありかなって思いましたが難しそうですね」


 真奈美さんは一瞬輝いた目をしていたが、今はドンよりしている。(何時かは役に立つんだからね!)


「役立たたず」


 ぐはっ!真冬ちゃん…(超絶美少女の一言はキツい)


 そうしていると、他の人も降りてきた。変態オヤジと残りの三人組だ。


「おはようございます。皆さん早いですね」


「巧さん、おはよう!私達スキル決まったよ。巧さん達も決まった?」


「ワシは、薬剤(調剤)、料理、錬金だ」


 変態オヤジは意外とマトモな選択だな。


「私は、鍛冶、彫金、錬成だよ。物作りしたくてね」


 巧さんは生産系だな。(少し憧れる)


「聞いて聞いて!私はね、治癒、火、土魔法だよ!土魔法とかラノベで活躍してるよね!」


 桜さんは魔法大好きみたいだな。


「私は鑑定と転移ですね。転移で2枠使いました」


 幸之助さんは何を目指すのかな?判らないな。


 皆の選択が決まったところで天使が話し掛けてきた。


「皆さんスキル決まったみたいですね。昨日、内容を聞いてますので変更なければ大丈夫ですよ」


 皆は周りを見たが変更を申し出る人は居なかった。


「それではスキルを付与しますね」


 天使が両手を上げると虹色の光が皆に舞い降りた。体内に何か熱いものが満たされていく。これが魔力か?体が軽くなり力も沸いてくるようだ。


「はい!スキル付与出来ましたよ。使い方は判るようになってます」


 確かに使い方判るな。(助かる)


「あと、お金は一般人が3ヶ月ほど生活出来る位と装備は普通の服ね。着替えもあるわよ。リュックに纏めてるから後で確認してね」


「転移する場所は中規模で比較的安全な街にしてるから。門前で銀貨1枚払えば入れて貰えるわ。その他の情報は皆で調べてね。全部教えてたら面白くないでしょ」


 皆は付与されたスキルに浮かれたり荷物を漁ったりなど賑やかだ。


「それじゃあ、早速転移して貰うわね。色んなことして私を楽しませてね!面白かったらボーナスあるかもね」


 天使が微笑むと皆の体が薄れていく…

 転移が始まったのかな?私の体も薄れて行った。

(新しい生活にドキドキだな!)


 気が付くと私は辺り一面の草原のど真ん中に居た。


 あれ?あれれ?ここ何処?皆は?

 確か街の門前に転移するはずだよな…ここ草原だし、周り見ても街らしき物は無いし…


 「ピコン」


 頭の中で何か音が鳴った。


「メールを着信しています。ステータスから確認してください」


 ん?なんだこれは?ステータス??

 取り敢えず叫んでみた。


「ステータス!」(オープンは要るのか?)


 おっ、目の前に半透明のプレートが浮かび上がったぞ。項目色々あるな。(メールはと… これか?)


 右下に点滅したマーカーがあった。


 手で触ってもすり抜けるので、マーカーを開くように意識を集中力すると画面が切り替わった。


 なになに?天使からメールが来てるな。


「ま、まぢか…そりゃないぜダメ天使!」


 メールには、


「あなたに付与したネットスキルは制約があるって言ったわよね。そのひとつが、皆と別の場所への転移なの。あなたの今いる場所は隣の国ね。

 街は西と南にあるわ。距離は教えないけど。そこは安全な場所だけど念のため2日間半径500mに結界を張っておいてあげる。じゃあ頑張って皆と合流してね。見守ってるわ」


 項垂れる夏希であった…

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