第2話 スキル付与(1)

 天使カルレスにより呼び出された夏希。

 これからどうなるのかと不安になりながら話を聞いた。


「あなた方には望むスキルを3つ差し上げます。また、当面の生活費と装備品も差し上げます」


「スキルについては別に[異世界言語スキル]を付与しますので、話すことはもちろん読み書きも出来ますので安心してください」


「3つのスキルについては、どんな感じにしたいかおっしゃって頂けたらその内容に見合ったスキルを付与します。あまりにも途方もない内容の場合は、出来る範囲に落としこんで付与します」


「以上になります。では欲しいスキルが決まったら言ってください」


 おいおい… なんか勝手に色々言ってるけど状況説明はそれだけか?元の世界に帰れないのか?帰れないなら転移する世界はどんな所かの説明も無いのか?皆、呆気に取られてるぞ。


「元の世界に帰せ!異世界なんか行かない!」


「私達は死んじゃたの?あなたに殺されたの?」


「もっと詳しく説明しろ!」


「獣人は居ますか?猫ミミは?狼フサフサしっぽは?ケモけもカモーン!」


 最後のは置いといて…そりゃ皆、言うよな…


「いえ、死んではいませんし今この場で元の世界に戻る事も出来ます。ですが一度私の世界に転移して生活してみませんか?戻る場合はどれだけ異世界で生活しても今の時間と年齢で元の世界へお返しする事を約束します」


「なので、こちらの世界を楽しんでみたら如何いかがでしょうか?元の世界に戻る際には、何か1つだけ持って帰る事が出来るようにします。スキルでもお金でもなんでもです。勿論、此方こちらで生活した記憶は残ります」


 おっ、意外と条件はいいな。最初は「なんだかなぁ~」って思ったけどな!


「すぐに決める事は難しいでしょう。休憩出来るスペースを儲けますので十分に考えてみてください」


 天使はそう言うと右手を振り上げた。

 と、その指先から目映い光が発せられ、白のみの空間だった場所に大きな建物が現れた。


「「「 あっ!あれは!!!! 」」」


 女子高生も親子もハゲ親父も若い男女も皆、驚いた。


「うふふ、休憩と言えばこれよね」


 そこにはなんかちよっと「ピンクピンク」したお洒落なホテルが建っていた。


 おい天使よ…やはりお前は何処か頭のネジがおかしいな。(小さな子供も居るんだぞ…)


「うふふ、冗談よ~。はい!今度は真面目にやるわね。はい、どっこいしょ~」


 天使が変な掛け声と共に再び右手を振り上げると目映まばゆい光りが起こり、そこには普通のホテルが建っているのであった。


「じゃあ、今日はゆっくりして明日の昼に皆の答えを聞くわ。質問ある?」


 うん、今聞いておいた方がいい事たくさんあるな。


「では何点かいいですか?」


「はい、どうぞ~」


「1.転移先の情報を教えてください。


 ーどんな世界か?(よくある中世ヨーロッパな感じで剣と魔法の世界?)

 ー人種は?差別や対立とかは?

 ー魔王など脅威きょういとなる存在は?

 ー戦争とかは起きてないのか?


 2.スキル付与で出来ない事は?


 3.転移後は天使と連絡出来るのか??


 以上、回答をお願いします」


「たくさんあるわね…

  そうね、剣と魔法の世界で合ってるわ。中世ヨーロッパより生活は便利だと思う。魔法や魔道具があるからね。食文化も割りといいと思うわよ。


 人種は、人族・獣人族・亜人族(エルフやドワーフ)・魔族が主な人種ね。あと稀少種も少しだけど居るわね。


 魔王は居るけど魔族の王と言うだけで、人族の敵とかでは無いわ。昔は敵対してた時代もあったけど今は共存してるわね。


 戦争は人族間で幾分かはあるけど、大きな戦争は起こってないわ。(先の事はわからないけどね…)


 スキル付与で出来ない事は一言では難しいわね。強いていて言えば、あなた方の世界の人道的常識(憲法)に外れていなければ大丈夫よ。


 私との連絡は教会で祈りを捧げれば、答えることはあるかもね?ってぐらいと思っておけばいいわ。


 まあ、これくらい聞ければ一先ひとまずいいかな?他の人は聞かなくて大丈夫?」


 周りを見るが誰も発言しない様だ。


「大丈夫みたいね。じゃあ明日回答を聞かせてね。ホテルではお風呂入れるし、ご飯も食べれるからゆっくりしてね」


 そう言うと天使は目の前で綺麗な粒子になって消えていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る