小百合の期待とは裏腹に、殺意の記録は着実に埋まっていった。


・1回目 自分のミスを棚に上げ、私に〈責任〉を取らせようとした。


・2回目 〈笑顔〉で「宿題忘れちゃった! 見せて!」と頼んできた。いつもやって来ないじゃん。


・3回目 「私、先輩に〈憧憬〉してます!」と媚びを売る。別の先輩にも言ってなかった?


・4回目 〈凶悪〉な殺人犯が捕まった、というニュースを見て「私だったら、返り討ちにできるのに!」と根拠のない自信。無理だろ。


・5回目 日頃の〈感謝〉に、と自販機で間違って買ったジュースを渡してくる。全然足りない。


・6回目 うちの〈冷蔵庫〉を勝手に覗き「このプリン、食べてもいい?」とせびる。母親、「しょうがないわね」と渡す。それ、私が残してたプリンなんだけど。


・7回目 靴の中に入っていた〈砂〉を、うちの玄関の前で捨てる。


・8回目 百実がテストで赤点を取った。そしてなぜか、私が百実のレポートを監督することになった。「補習の代わりの救済措置として、小百合に勉強見てもらいます! って言ったら、許してもらえたの! これから1週間、よろしくね!」私は部活を休む羽目になった。


・9回目 道に空いていた〈穴〉に、私を突き飛ばす。「わざとじゃないよー」と言うが、ヘラヘラ笑っていたので、わざと。


・10回目 日頃、私に迷惑をかけている贖罪にと、部屋を掃除しに来た。1時間後、様子を見に行ったら、最初の倍汚れていた。「小百合みたいに上手くいかないや」って笑ってた。追い出した。


・11回目 朝、〈霧〉が出ていたので早く家を出た。百実は遅刻して、親に車で送ってもらっていた。「小百合も送ってもらえば良かったのに」って言われた。うざ。


・12回目 〈髪〉にガムつけられた。「ちょっとしたイタズラじゃん」と笑ってた。取れなかったから、泣きながら切った。


・13回目 週末に遊園地に行こうって〈約束〉したのに、来なかった。電話したら、「ごめーん、忘れてた! 今、友達とカラオケ来てるから、小百合もおいでよ!」って。行かずに、帰った。


・14回目 〈鋏〉の刃を私に向けて返してきた。「危ないでしょ!」って怒ったら、「だって刃の方持ったら、指切れちゃうじゃん」だって。私は傷ついていいの?


・15回目 「今月の小遣い、使い果たしちゃった! 小百合様! どうか、お〈慈悲〉をー!」ってたかりに来た。もちろん貸さなかった。今まで貸したお金、慰謝料と保険金で返って来ないかな?


・16回目 「私、小百合のこと嫌い! 他の子と付き合うから!」って言った後、笑いながら「〈嘘〉だよ! 私が小百合のこと、嫌いになるわけないじゃん。小百合も私のこと大好きでしょ?」だって。は? 嫌いだけど?


・17回目 「〈雨〉宿りさせて!」って、ぼとぼとになってうちに駆け込んできた。昨日おろしたばかりの靴が汚れた。


・18回目 うちで飼ってるインコの羽根が欲しいって、無理矢理〈翼〉を引った。インコは怪我をしたけど、親は「次から気をつけてね」って百実を許した。私がやったら怒るくせに。


・19回目 「私、今一番〈幸福〉だわー」って、私のお弁当のおかずを勝手に食べながら笑った。


・20回目 貸していた私の腕〈時計〉を、間違えて売った。「代わりのやつ、買ってくるから」って言ってたけど、代わりがあれば許されると思ってるの?


・21回目 付き合った1ヶ月記念に買った〈指輪〉をなくした。責めたら、「安物だったし、いいよね?」だって。私も同じ指輪をゴミ箱に捨てた。


・22回目 私が食事制限してるって知ってるくせに、「昨日、〈欲望〉のままにポテチをやけ食いしちゃったよー!」って笑ってた。そのまま醜く太ってしまえ。


・23回目 「どこかにいないかなー? 私の〈信奉〉者」いるわけないじゃん。


・24回目 〈窓〉辺で本を読んでいたら、外へ突き落とそうとした。「冗談じゃん!」って笑ってた。ここ、4階なんだけど?


・25回目 〈鉄〉棒で逆上がりの練習をしていたら、「手伝ってあげる!」って言ったくせに、急に手を離した。私は頭から落ちて、大怪我。病院では泣きながら謝ってたけど、私が落ちてしばらく「早く起きなよー」って笑ってたの、知ってるからね?


・26回目 〈夢〉の中で私とは別に、五人の女と付き合ってた。他の子と別れてって言ったら、「みんな愛してるんだからいいでしょ?」って首を傾げてた。


・27回目 手芸の授業で作った髪留めを、私の髪に結んだ。でも髪留めとは名ばかりの、ただの〈糸〉の束だった。髪と絡まったので、また切る羽目になった。


・28回目 「おいしいよ!」って、生の梅を渡された。調べると、死ぬほどじゃないけど、中〈毒〉症状が出るって書いてあった。即刻、捨てた。


・29回目 「私、小百合に〈羨望〉してるんだー。いつか小百合みたいになれるといいな」って目をキラキラさせながら言った。やめて。あんたなんかに憧れられたくない。


・30回目 百実の後輩が遅刻した。「先輩を待たすとか、あり得なくない? 私、久々に〈怒り〉を覚えたね!」お前が言うな。


・31回目 新種の虫を見つけた、と死んだ〈蛹〉を私の机の上に置かれた。正体を知った途端、「触りたくない!」とごねたので、私が取り除く羽目になった。


・32回目 急に〈沈黙〉したと思ったら、私の顔に向かって、おもいっきりくしゃみした。「ごめんごめん! でも、私にくしゃみかけられて嬉しいでしょ?」って言われたから「そうだね」って一応笑っておいたけど、すぐに洗面所に行って、顔を洗った。


・33回目 百実の誕生日。プレゼントを渡したら、「これで〈祝福〉してるつもり? 小百合のことだから、もっといいものくれると思ってた!」って逆ギレされた。死んだ蛹を渡せば良かった。


・34回目 部活が終わるのが遅くて、百実を2時間近く校門の前で待たせた。「〈孤独〉で死にそうだったよ!」って泣いてたけど、直前までクラスメイトと仲良く喋ってたじゃん。嘘つき。


・35回目 〈駅〉で電車を待っていたら、百実に後ろから突き飛ばされそうになった。「本気じゃないって!」って笑ってた。でも、私の前には立とうとはしなかった。


・36回目 授業に急に鼻〈血〉が出てきた。それを見た百実が「おもしろーい!」って、私を指差して笑った。他のクラスメイトも私に気づいて笑った。全部、百実のせい。


・37回目 〈壁〉ドンしてみたいって言うから、させた。すると百実が力み過ぎて、壁で手を骨折した。「小百合が止めてくれなかったからでしょ!」って責められた。


・38回目 〈川〉の水をかけられた。用水路と繋がってる汚い水だったので、洗っても洗っても制服から臭いが取れなかった。


・39回目 「私と付き合ったこと、〈後悔〉してない?」って急に言われた。本当は無茶苦茶してるけど「そんなことないよ」って言った。そしたら「だよね! あり得ないよね!」だって。調子に乗るな。


・40回目 「〈影〉を踏まれると死んじゃうんだって!」って言った後、私の影を踏んできた。しかも何回も。何の影響もないと分かると、「死なないね。なーんだ、嘘っぱちか」って笑ってた。


・41回目 課題を手伝って欲しい、って電話で頼まれた。断ったら「〈信頼〉してたのに、裏切られた!」って切られた。私は何度も裏切られてる。


・42回目 うちに遊びに来るやいなや、「なんか小百合んち、〈煙〉臭くない?」って大騒ぎ。親も信じて消防車を呼ぶわ、野次馬が押しかけるわの、パニック状態。結局、百実の勘違いだった。ほんと、迷惑。


・43回目 自分の赤ちゃんの頃の写真を見て「やばい! 私、〈天使〉みたいに可愛い!」って喜んでた。本当は悪魔だけどね。言うほど可愛くないし。


・44回目 深夜、「〈月〉がめっちゃ綺麗だよ! 見て!」と電話で叩き起こされる。ちょうど雲が隠れて見えなかったし、寝坊して遅刻しかけた。


・45回目 百実が〈信号機〉が赤の時に渡ろうとしたから止めたら「車いないから、大丈夫だよ!」って私の手を引っ張って無理矢理横断した。後日、その様子を見ていた近所の人が学校に通報し、百実ともども怒られた。


・46回目 「一緒に撮ろう!」って、急にスマホで〈写真〉を撮った。百実は完璧な顔だったけど、私は半目だった。百実は「ウケる!」って他のクラスメイトにも見せた。あいつのスマホを叩き割ってやりたい。


・47回目 私の靴箱に入っていたラブレターらしき〈手紙〉を、百実が勝手に捨てた。「私と付き合ってるんだから、必要ないでしょ?」って、彼女面。早く別れたい。


・48回目 百実が来月、引っ越すと言い出した。これでこいつと〈別離〉できると期待していたけど、学校は変わらないらしい。二度と会わないくらい、遠くに引っ越せばいいのに。


・49回目 「私達、〈永遠〉に一緒にいようね!」って言った矢先に、友達と1週間お泊まり旅行。「小百合も一緒に来れば良かったのに」って百実は残念がってた。私、誘われてないけど?


・50回目 〈階段〉を下りようとしたところを、百実に後ろから突き飛ばされる。そのまま下まで転がって、全身打撲。百実は心配するどころか「小百合、ちょっと体力なさすぎじゃない?」と、私のせいにする。親も私のせいにした。今度、私も百実を突き飛ばしてみようかな?


・51回目 進路調査の紙をもらった。いざ書こうとしたら、百実に横から「〈希望〉の就職先」の第一候補に「百実のお嫁歳」って書かれた。しかもボールペンで。百実は照れ臭そうに笑ってたけど、いい迷惑だった。百実の見えないところで破り捨てて、新しい紙をもらった。


・52回目 暑くて汗だくになって帰っていたら「涼しくなるよ!」と〈橋〉から突き落とされた。前にも落とされた川で、臭いが落ちないから制服を買い直した。


・53回目 教室でキスをしようとしたので、〈拒絶〉した。すると「私のこと嫌いになったの?!」と責められた。みんながいるところではやめようって言ったの、百実のくせに。


・54回目 私のお気に入りだったガラスのコップを落とした。コップは木っ端微塵に〈破壊〉された。百実は「わざとじゃない」と言ったけど、自分の分のコップは慎重に運んでいたから、わざとに決まってる。


・55回目 学校の研修で〈谷〉に行ったら、途中で百実がいなくなった。先生に言われて渋々、班のみんなと来た道を探しに戻ったけど、どこにもいなかった。諦めて集合場所に行くと、既に百実がいた。「みんなおそーい! 迷子になってたの?」と笑いながら言った。みんなはホッとしていたけど、私は「遭難していれば良かったのに」と舌打ちした。


・56回目 「〈鏡〉に映る私、可愛くない?」とぶりっ子。うざ。


・57回目 「財布に蛇の皮を入れとくと、お金貯まるらしいよ!」と、私の財布の中に蛇皮を入れられた。「いらない。百実の財布に入れたら?」と皮を返すと、「えー、気持ち悪いからやだー」と気味悪がった。


・58回目 百実がくれた〈果実〉が腐ってた。「ジャムにしたらいいよ」って言ってたけど、そんなレベルじゃない。


・59回目 二人で映画を観に行った。私が〈涙〉を流している横で、「これってどういうことなの? ねぇねぇ?」と無神経に聞いてきた。雰囲気ぶち壊し。


・60回目 映画を観た後、二人で夜景をバックに写真を撮った。「他の人には見せないで」って言ったのに、その日のうちにSNSに上げてた。〈承認〉欲求強過ぎ。


・61回目 「〈決意〉した! 私、アイドルになる!」次の日、「大変そうだからやっぱやめた!」とあっさり諦めた。前も別の職業で同じこと言ってなかった?


・62回目 肌が弱いので、日焼け予防のために日傘を差していたら「たまには〈太陽〉に浴びないと!」と百実に奪われた。しばらく彼女を追いかけ回し、次の日全身が痛くなった。


・63回目 夢で私が浮気していたから謝れ、と言ってきた。夢と〈現〉実を区別できないの?


・64回目 10年振りに〈再会〉したという幼馴染を紹介してきた。可愛らしくて、少し天然な子。でも百実が席を外したら、「あいつ、ウザいでしょ?」と百実の悪口ばかり。どうしてこんな性悪女を紹介したの?


・65回目 私が家族〈旅〉行から帰ってきたら、「お土産は?」とたかってきた。一応買っておいたので渡すと「私、あれが欲しかったー」と別のものをねだった。だったら、自分で買ってこいよ。


・66回目 肝試しをしに、百実とその友達と〈荒廃〉した屋敷に忍び込んだ。百実が耳元でずっと悲鳴を上げていたから、とにかくうるさかった。黙れ。


・67回目 預けていた交換日記の〈鍵〉を失くされた。「探しとくから!」と言いながら、もう1ヶ月。


・68回目 朝から頭が痛かったので、百実から頭痛〈薬〉をもらった。でも入っていたのは睡眠〈薬〉で、授業中寝てしまった。私が先生に怒られているのを、「ドジだなぁ」と笑いながら見ていた。


・69回目 ふと、百実との思い出を〈追憶〉した。どれもムカつくことばかりで、「もっと早く別れておけば」と後悔した。


・70回目 図書室で一緒にテスト勉強をしていると、百実が急に笑い出した。〈静謐〉な室内に百実の笑い声が響き、私達は追い出された。訳を聞くと、「だって、小百合の顔が真面目過ぎて面白かったんだもん!」と私のせいにした。


・71回目 ヒロインが復讐するミステリー小説を読んだ。ヒロインの復讐相手があまりにも百実にそっくりで驚いた。ヒロインは悲哀のこもった〈恩讐〉の念を抱いていたけど、「私は百実に情けはないな」と改めて思った。私も早く復讐したい。


・72回目 「テスト、赤点回避しないかなー。今なら〈悪魔〉に魂だって売ってみせる!」早く売れ。


・73回目 部活で賞を取った。私が盾を持っているのを見て、百実が「いいなー! 私にもその〈栄光〉、分けて欲しいよー」と羨ましがった。分けるか。努力しろ。


・74回目 二人で〈海〉水浴に行った。私が綺麗なお姉さんにナンパされて困っていると、百実が「浮気してる!」と私を責めた。お前さえ来なければ、できたのに。


・75回目 文化祭で仮面を作った。「試しにかぶって!」と百実に無理矢理つけさせられた。のりも絵の具も乾いてなくて、ひどい顔になった。それを見て、百実は笑っていた。


・76回目 今日は私の誕生日。百実から「〈期待〉しないで!」と渡されたのは、手作りのぬいぐるみだった。友達には高級洋菓子をプレゼントしたくせに。


・77回目 百実と恋愛もののドラマを観た。百実は「私、こんな〈情愛〉深い人と結婚したーい!」と私を横目でチラチラ見ながら言ったけど、ドラマに集中できなくてうざったかった。


・78回目 理科の実験で部屋を暗くした。すると百実が〈暗闇〉の中で手を握ってきた。授業中はそういうことするなって言ったのに。百実だと気づかないフリをして、振り払った。


・79回目 百実が兄のモデルガンを持ってきて、私を撃った。偽物の〈弾丸〉だったけど、目にでも当たったらどうするの?


・80回目 調理実習で百実が勝手に〈炎〉を点けたせいで、私のノートが燃えた。「私のノート見せてあげる!」って貸してくれたけど、ほとんど白紙だった。


・81回目 私が生〈肉〉が好きだからって、お弁当に詰めて持ってきた。しかも牛肉。案の定、食べたらダメなやつだったので、保健所行き。「だって、小百合に喜んで欲しかったんだもん!」って百実が泣いたら、なぜかみんな許した。


・82回目 夜中に「ホラー映画を観たから、〈恐怖〉で寝られない!」と電話。無視して寝たら、家まで来て、私の自室の窓を外から叩いてた。


・83回目 「〈情熱〉的なダンスが踊れるようになりたい!」と社交ダンスに憧れ、私も無理矢理連れて行かれる。百実は1時間も経たないうちに断念したけど、私は筋がいいらしい。そのことを百実が嫉妬して「全部私のおかげじゃん!」と逆ギレ。


・84回目 〈雨〉の日、「傘忘れたから入れて!」と濡れたまま私の傘に入る。私の制服も濡れるし、靴を踏まれるしで散々。


・85回目 二人でショッピングに出かけた。「小百合はこの〈色〉が似合うよ!」と百実が選んだ服が、クソダサかった。百実自身はすごく可愛い服を選んで着ていた。絶対わざと選んだじゃん。


・86回目 「おじいちゃんが送ってきたの! 食べて!」と、あからさまな〈毒〉キノコを渡してきた。本当は観賞用に送られたキノコらしく、「冗談、冗談! こんなの食べる人なんていないって!」と笑ってた。さすがにうちの親も、百実を疑いの目で見ていた。


・87回目 節分の日、〈鬼〉のお面をかぶってうちに来た。散々暴れ回り、うちの家財道具や壁をいくつか壊した。毒キノコの件もあって、しばらく出禁になった。


・88回目 ひな祭りの日、学校に甘〈酒〉を持って来た。私にも飲ませて、「先生! 小百合ちゃんがお〈酒〉飲んでます!」と冗談めかして言った。先生は百実を信じて、警察を呼んだ。


・89回目 百実の〈裏〉アカウントに、私のあることないことが大量に書き込まれていた。「何であんなこと書くの?」と責めたら「勝手に見るなんて最低! 冗談に決まってんじゃん!」と逆に怒られた。


・90回目 自分の小学生の頃の写真を見て「やばい! 私、〈天使〉みたいに可愛い!」って喜んでた。どんだけ自分、大好きなの?


・91回目 動物園の猛〈獣〉を見て、「可愛い! 触りたい!」とごねる。餌やり体験をしてやっと怖さが分かったのか、「可愛くない!」と逆ギレ。


・92回目 帰りが遅くなったので、真っ暗な中帰っていると、急に百実がスマホの電灯を〈閃光〉のように向けてきた。「ほら! これで明るいでしょ?」だって。眩し過ぎて、しばらく目が開かなかった。


・93回目 「その場で〈静止〉しててね!」って言われたから待ってたのに、友達と喋っていて忘れる。戻ってくるなり「何してるの?」とポカン。


・94回目 〈土〉のお団子を本物のお団子だと偽る。どう見ても〈土〉だったのですぐに見破ったけど、百実は「本物だよ! 食べて!」と無理矢理口に入れてきた。すぐに吐き出した。


・95回目 百実のことで不機嫌な私に、「もっと〈笑顔〉でいなくちゃ!」とアドバイス。お前のせいだよ。


・96回目 「友達と遊園地に行くから、お〈金〉貸して!」とせびってきた。しかも冗談抜きで。私と行かなかったのに、友達とは行くんだ?


・97回目 「小百合の体の〈均衡〉が取れていない」「左半身だけ太ってる」とダメ出し。左半身を痩せさせようと、やたら荷物を持たせる。自分は荷物を運びたくないだけでしょ?


・98回目 「小百合、最近顔〈青〉くない? ちゃんと寝れてる?」と心配してくる。お前のせいで気が休まらないのよ。


・99回目 これから部活だったのに、「この〈再生〉紙の束、校舎裏のゴミ捨て場に持っていってくれない?」とゴミ捨てを押し付けてきた。「小百合なら遅刻しても怒られないって!」と根拠のない自信。これから友達とカラオケにでも行くのかしら?


 99回目を書き終えたところで、小百合はノートを読み返した。

「私、よく我慢したな」

 そしてこうも思った。

「百実、つくづくクズだな。絶対に殺さないと」

 小百合の意志は固かった。

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