冬夜 ⑧
どうしてこんな形でしか出会えなかったのでしょうか。普通に、学校の先輩後輩という関係で出会えていたら、そう考えてしまいます。
霞先輩からの手紙を読んで、本当に僕は馬鹿だなと思いました。先輩からの手紙を読む中で、先輩がどんな想いを込めているのか、分かるようになっていたはずなのに。
好きだと伝えることが、先輩を苦しめると分かっていました。それでも、どうしても伝えたかったんです。
僕は、不器用な人間です。裏腹には、生きられません。思ったことは、口にしないと後悔すると知っています。
僕は本当の想いを伝えられず、父を失いましたから。母さんを好きになってくれてありがとうと、僕達を育ててくれてありがとうと、伝えられず、何も親孝行できませんでしたから。
先輩に伝えたいこと、話したいことがたくさんあります。でももう、それを書く時間はほとんど残されていません。
先輩を苦しめるのは分かっていますが、どうしても自分を抑えられません。
先輩、好きです。先輩のことが、大好きです。今だけは、手紙じゃなく直接言えたらと思います。
先輩と、出会いたいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます