冬夜 ⑧

 どうしてこんな形でしか出会えなかったのでしょうか。普通に、学校の先輩後輩という関係で出会えていたら、そう考えてしまいます。


 霞先輩からの手紙を読んで、本当に僕は馬鹿だなと思いました。先輩からの手紙を読む中で、先輩がどんな想いを込めているのか、分かるようになっていたはずなのに。



 好きだと伝えることが、先輩を苦しめると分かっていました。それでも、どうしても伝えたかったんです。

 僕は、不器用な人間です。裏腹には、生きられません。思ったことは、口にしないと後悔すると知っています。


 僕は本当の想いを伝えられず、父を失いましたから。母さんを好きになってくれてありがとうと、僕達を育ててくれてありがとうと、伝えられず、何も親孝行できませんでしたから。



 先輩に伝えたいこと、話したいことがたくさんあります。でももう、それを書く時間はほとんど残されていません。


 先輩を苦しめるのは分かっていますが、どうしても自分を抑えられません。



 先輩、好きです。先輩のことが、大好きです。今だけは、手紙じゃなく直接言えたらと思います。

 先輩と、出会いたいです。

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