冬夜 ⑥
こうして手紙を書いているとそんなことを忘れられますが、ふとした時に終わりが近付いているんだと思い知らされます。
きっとこのサービスを作った人は、こんな気持ちを利用者に感じて欲しかったんでしょうね。
いずれ冷めると分かっているぬるま湯から上がるのか、それとも新しく火を点けるのか。後に引けない選択を迫られると、人間はようやく本心を口に出来ますから。
なんだか、先輩が書いたような文章ですね。自分らしくなくて、むず痒いです。
僕も書きます。1通1通に想いを込めて、先輩が先輩らしくいられるような手紙を書きます。
こうやって先輩と話している時間は、僕の人生で掛けがえのない時間ですから。
妹は、先輩のことを可愛いと言っています。お兄ちゃんには勿体ない人だと。手紙を見て、ずっと辛かったんだね、とも。多感なこの時期だからこそ、感じているものがあるようです。
そんなことを言われても、人の目に触れる可能性がある手紙にそんなことを書いたのは先輩の責任だと思います。
僕だって、どんな気持ちで先輩の手紙を待っていると思っているんですか。好きな人からの手紙を待っている時間がこんなに長く、胸が締め付けられるものだなんて思ってもみなかったんですよ。
馬鹿ってなんですか。ひどいです。
先輩こそ、次は1日で返事を書いて下さい。早く、先輩の手紙が届いて欲しいです。
冬夜
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