霞 ⑤

 良かったという一言に尽きる。いや本当に、私は馬鹿だな。少年の懐の深さはこれまでのやり取りである程度分かっていたつもりだったが、私は勝手に君を測ってしまっていた。

 ありがとう。私のフリーレターを受け取ってくれたのが少年で良かったと、心から思っているよ。



 話したいことがたくさんあるんだ。だが、少年から貰った手紙を読んでいて、ふと思った。この手紙を書き終えると、丁度半分の手紙を消費したことになるんだな。

 少年は後5通、私はこれを含め6通書いたら私達の特別な関係は終わってしまうんだな。最初から決まっていたこととはいえ、いざその時が近くなると、どうにも寂しいものだな。


 いっそ手紙を書かなければずっとこのぬるま湯に浸かっていられるのにと、思わずにはいられないよ。

 それでも私は書くよ。少年と生きている今を大切にしたいからね。少年も、必ず返事をくれよ。



 ちょっと待て。つまりそれは、私のあの情けない手紙も全て妹君は読んでいたということか? 小学生なら漢字は読めるだろうし、まさかあの痴態を全て把握していると?

 私は今後どんな顔をして少年に手紙を書けというんだ。申し上げにくい、では済まなされないぞこれは。


 その気持ちは私が責任を持って慰めてやるさ。だから少年も乙女の顔に泥を塗った責任を取るんだ。

 返答次第では許さないからな。私がどんな想いで君に手紙を書いたと思っているんだ。馬鹿。


 早く返事を書いてくれ。


                 霞

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