冬夜 ②

 霞先輩、お手紙ありがとうございます。何故か自宅の郵便受けに手紙が届いた時、心が弾むようでした。

 こう言っては失礼になりますが、素敵と呼べる手紙ではなかったですが、手紙が届いたという事実は嬉しかったです。



 自分は先輩という人を知りませんし、気の利いたことは言えません。ですが1つだけ、手紙からでも先輩の人柄について見えたものがありました。


 限られた文章の中とはいえ、先輩はただの一言も他人を悪くいうような言い回しをしない「優しい人」だと思いました。

 名前と年齢しか知らない自分に対して気を遣うだけでなく、父親に対しても悪印象になるような言葉は書かれない。


 そんな優しい人が自分のために手紙を書いてくれている。そう考えると、不思議と口角が持ち上がります。



 そしてこれは自分の持論ですが、人の口をついて出た言葉に意味がないなんてことはないと思っています。

 先輩が書き起こした想いの数々にも、何かしらの意味があって、それが自分の元に届いていることも意味があると思います。


 共感しようにも出来ない環境の差ですし、気にせず、ゆっくり先輩の言葉を聞かせて欲しいです。



 思いのほか舞い上がっている自分が恥ずかしく、楽しくもあります。手紙とは不思議なものですね。普段口にしないような言葉が、想いが、息をするように溢れ出る。



 お返事、お待ちしています。




                 冬夜

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