博多にて。私が大切な友人をとりもどした話

福岡空港は中心部にほど近く「空港までの移動時間」を考えなくて良いところが好きだ。

市街地に位置しているが故に、着陸の際には「墜落するのではないか」というドキドキも体験できる。


定番土産「チロリアン」の看板を目前に構えたエレベーターを下り、預けた荷物の受け取りレーンへ向かいながら、私は2年ぶりとなる友人との再会に胸を躍らせていた。


彼女は大学時代、最も長く濃い時間を過ごした友人の1人で、そのうち3年間は同じアパートの1階と2階に住んでいた。


一切連絡が返ってこないようになったのは、社会人2年目の春だったと記憶している。


働き始めて、住む場所も変わり、頻繁に会うことはなくなっていた。

しかし某SNSで「地元に戻った」という事後報告のような内容を目にした時は、驚きのあまり仕事中に電話をかけ、数分会話をした。


それを最後に、私たちは、彼女と音信不通になった。



およそ2年ぶり、奇しくも、あの時の某SNSで連絡を取るキッカケを掴んだ時の気持ちは忘れられない。


その頃にはもう、二度と会えない可能性も受け入れていたし、どこかで生きていればいいと納得していたので、嬉しいを通り越して、驚きと不安の方が大きかった。


それでもこの機を逃すことはできないと、すぐに2週間後の航空券と会う約束を取り付けた。


待ち合わせに選んだのは、博多駅にほど近い居酒屋。

店の前で再会したとき、お互い笑顔だったはずだが、少しだけ気恥ずかしさも見え隠れしていたように思う。


昔のようにビールと梅酒で乾杯すれば、あの頃と同じ時間が流れ始めた。


彼女が音信不通になった当初は、憤りさえ感じていたし、とにかく寂しかった。

当時の様子から、なんとなく彼女が地元に戻った理由も察していたが、会えることになった時には、ついにその答え合わせができるのだという事実に興奮さえしていた。


しかし、そんな感情はすぐに消え去り、背景とか、経緯とか、私にとっての謎はどうでもよいものになっていた。

たった2時間の、たわいもない会話で、2人の距離感を取り戻した。



彼女の決断によって失われた私の世界の一部は、また、彼女の選択によって還ってきたのだ。


鴨の羽

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