第8話  運動会  午前の部

今日は、小学生の運動好きは誰もが待ち望む運動会。俺も昨日は楽しみで、すぐには寝付けなかった。


「海斗君一位は厳しいかもしれないけど徒競走がんばってね。」


「うん。頑張る、あと一位も取るつもりだよ。」


そう今から徒競走だ。俺は今明日香ちゃんが言ったことは決して嫌味ではないということはわかってる。


一緒に走る人に学年で一番足が速いと言われている西野という人がいるからだ。

実際に、50メートル走を8.34と小学生5年生の平均9.21くらいなので、平均より約1秒まぁこれでどれだけ凄いかはわかっただろう。

だが、正直俺からしたらそこまで速くない、これは、決して自惚れではなくきちんと数字として出ている。


前の学校で5年生転校する少し前に測った記録が平均より約1.6秒速い7.57だ。

手を抜いても負けないくらい余裕があるかもちろんそんなことはしないそれは、

相手にも失礼だろうという気持ちが一割、

明日香ちゃんに、

一位は厳しいと言われたのが2割

残り7割割は徒競走の前に西野に「せいぜい俺の引き立て役頑張れよ」と言われたからだ。

その時、俺の何かが切れた音がした、

こいつは圧倒的な差をつけるてぶち抜くと決めた。

そんなことを考えながら闘志をメラメラ燃やしていると順番が来たようだ。

俺は小さく深呼吸をする。


「位置についてー」


この声と同時に6人が走る場所に着く。


「よーい」


この声と同時に6人がみんなが

スタンディングスタートのポーズを取る。

あとは、ドンの音に反射して走り出せばいいだけ。


「ドン」


スターターピストル(徒競走の時などのスタートダッシュの時に使われる銃)でうった音とほぼ同時フライングにならないギリギリのタイミングで、走り出す。


足を一歩一歩前に出す意識ではなく。

大地を思いっきり蹴っ飛ばして、前に進む意識で、足を回し、手を精一杯振り、

加速する。もう周りも見ない、見るのはゴールテープよりも向こう

あとは、どれだけ本気でどれだけ自分の限界

で走れるかの勝負だ。

徒競走の前にバカにされたことを地面に八つ当たりしてさらに加速する。(ほんとにかそれで加速できているかは微妙だが)


自分でも今までで一番速く走れているのがわかる。

その時、胸に微かに何かが当たった気がした。

それはゴールテープだった、

気づいたら、50メートル走は終わっていた。


結果はもちろん余裕の1位

そして、終わったら呆気なかったなぁー

などと思っていると、西野がずごい形相で睨んできた、それが少し面白くて鼻で笑ってしまった。

徒競走が終わった人から午前の部が終わるので、俺はママがいる応援席に向かう。


その途中、天使(伊藤 明日香)が顔を真っ赤にして、こっちを見ている、俺も反射的に見つめてしまう。すると、逃げるようにどっか言ってしまった。

あれ、俺嫌われた?少し泣きそうになる気持ちを抑え、ママのいる応援先まで行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る