第175話 賛成出来ないにゃ!

 ――パチンッ! パチンッ! バシュッ!


「にゃー! 突然驚くにゃー! って、にゃぎゃーーー! 集塵血だらけにゃーーーー!」


 ねこの声……か……。


「集塵……どうしたにゃ! やばいにゃ!」


「ね……こ……」


「話すなっ! 集塵! 今、助けてやるからな!」


「にゃー! ホリエ姫っ! 何してるにゃ! なんでスーツ脱いでるにゃ!」


「このスーツなら集塵を助けられる! 集塵を見た瞬間から、この方法しかないって思っていたの……」


「もしかして……集塵にそれを着せるのにゃ!? そんなことしたら姫様の身体が危険にゃ!」


「いいよ……わたしは集塵を救いたい……ねこは彼の服を脱がして」


「駄目にゃー! その方法は賛成出来ないにゃ!」


「お願い! わたしはすぐに死ぬわけじゃないから! 大丈夫、お願いだから協力して!」


「にゃー! そんな目をされたら困るにゃ……し、仕方ないにゃ……でも、ホリエ姫の身体に異変が起きたらすぐに集塵のスーツは脱がすにゃ!」


「ありがとう……」


 銀髪……何を……しようと……。



「予備のチャージも大丈夫そう……サイズは自動で合わせてくれる……集塵、少し身体動かすよ……ねこ、手伝って!」


「にゃ!」


「ぐあっ……」


 何をしようとし……て……うぅ……もう……限界……だ……。




 ――ん……うん……こ、ここは……あれ? 俺、たしかトラックに……。


「集塵くーん。早くこっちにおいでよー! 皆んなお腹すかしてまってるよ!」


「五十嵐さん……無事だったのか! 良かった!」


 それにしても、何であんな崖の先端に皆んないるんだ? よくあんな場所まで行けたな……。


「早くおいでよー!」


 いや、どうやってあんな場所までいくんだよ……。


「集塵! わたしに任せろーー!」


「おわっ! 銀髪っ! そうか……お前の空間移動を使えば!」


「エヘヘ……何を言っているの? あたしは五十嵐だよ?」


「あれ? 銀髪は?」


「銀髪ちゃんはーーあそこでーーす!」


「え! ぎ、銀髪……危ない……そんな端の方に行くな! 崖から落ちるぞ!」


「飛ぶぞーー!」


「銀髪っ! やめっ……」


「とうっ!」


「銀髪ーーーーっ!」


 ――銀髪……。





 ――チュンチュン


 「ゴホッ……ゴホッ……うぅ……」


 ハァ……ハァ……天井……この天井には見覚えが……俺の部屋……か?


 たしか俺は五十嵐さんを助ける為に道路に飛び出して……それから……どうなった? 五十嵐さんの声が聞こえて……銀髪……そうだ! 銀髪も! あれ? なんで、あの場所に銀髪が居たんだ……。


 俺はゆっくりと状態を起こしてみる。視点が天井から壁へと切り替わる。


 目に映るそれは俺の住み慣れた部屋で間違いはなかった……不思議と懐かしくも感じる。


「にゃーーーー! 集塵っ! 目が覚めたのにゃ!」


 ――背後から聞き覚えのある声が……。

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