第88話 カルビピザサンド……!
結局、肩ちゃんのピザパンは見つからなかったので俺は五十嵐さんと弁当コーナーに移動した。ピザ味の何かが見つかればいいのだけど……。
「これで見つからなければピザ味のスナック菓子だな」
「そうねー。あっ! 見て! 集塵くん」
「お? 見つけた?」
五十嵐さんは突然弁当コーナーにある棚の中心辺りを指差す。そこには見覚えのある猫っぽいイラストが描かれたトーストサンドのようなものが一個置かれている。
「わわっ! どうしよう! コラボシリーズ、ねこじょカルビピザサンドですって!」
このキャラ毎回コラボしてんな……もはや目新しさの
「コイツいつも食い物とコラボしてんな……」
「それだけ人気ってことじゃない? あたしこれに決めた」
「いや……残念だがそれは肩ちゃんの分だな」
「ええー! なんで肩のものになるのよ!」
「忘れたのかよ。ピザパン欲しがってたじゃねーか。しかも棚を見渡した感じ、それが最後の一個だ」
「えええー! 嘘でしょー! やだやだやだー! ねこじょ食べたい!」
「おいおい、銀髪みたいなこと言ってんなよ。お姉さんだろ? 譲ってやれよ」
「むぅ……」
五十嵐さんは悲しそうな表情で、ねこじょのイラストが描かれたそれを見つめている。とはいえ一個しかないものは仕方ない。何か良い方法が有れば良いんだけど……。
「半分にわけたら?」
「ねこじょの顔が切れちゃうよー」
「なら諦めるしかねーな」
「うううぅ……」
物凄い落ち込みようだ……なんか本気で可哀想になってきた。
「肩に訊いてみる……」
「あぁ……それが良いかも。もしかしたら譲ってくれるかもしれない」
「うん」
素直な返事を返してきた五十嵐さんはスマホで高速フリック入力を始めた。いやー、これは本気で真似できないぜ。フリック入力大会があったら優勝間違いないな……。
ふと思ったけれど、肩ちゃんも速いのだろうか? イメージ的には速そうだ。
「なぁ、ちょっと気になったんだけど肩ちゃんも嵐ちゃんみたいにスマホ入力速いの?」
「どうかしらね? あまり気にしたことはないから。そんなことより……嵐って呼ぶなって初めて会った時に言ったでしょ! つぎ、口にしたら命はないと思いなさいよね」
スマホ入力に集中している今ならワンチャン行けると思ったんだけどな。嵐ちゃんって呼び方、可愛いと思うんだけど……何が気に食わないんだ?
そういや高校時代、初めて美術部の部室で会った時に嵐部長って呼んだら消しゴムが勢いよく飛んできたっけ……すげーコントロール良かったよな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます