第86話 肩ちゃんのピザパンを探そう!
コンビニエンスストアのうさぎのらびっとは、いつもと変わらず外のアスファルトを店内の照明が照らしている。俺と五十嵐さんは夕飯の買い出しの為に此処まできたわけだが、たまには反対側の道にあるコンビニを使っても良かった気がするな。
「何故、この店を毎回選んでしまうのか……」
「何を今更そんなこと言ってるのよ……銀髪ちゃんがカルビ炭火焼き弁当が好きだからじゃないの?」
「そ、そうか……確かに俺だけなら恐らく毎回カルビ炭火焼きを買いになんて来ないよな」
「あのお弁当、皆んなよく飽きないわねー。なんで?」
「何でって言われてもな……何か不思議な成分が入ってるとか?」
「まさかぁ。怖いこと言わないでよね」
コンビニの弁当なんて身体に悪そうなもの普通に入ってると思うけどな……。
「とりあえず入ろうぜ。あまり長居もしていられないしな」
「そうね。そういえば肩がピザパン欲しがっていたわよね。あるかしら……」
肩ちゃんのこと本人の前では五十肩って言うのに、たまに肩って言うんだな……あれは意地悪なのか? からかっているだけとか?
「ぼーっとして、どうしたの? 入らないの?」
「あ、ああー。何でもない、入ろうぜ」
「?」
「いいから! 入るぞ」
「はーい」
五十嵐さんは気のない返事を俺に返すと先に店内へと入っていってしまった。俺も後に続く。
「そういやパンのコーナーって普段見ないよな」
「あたしはこの間、変なおじさんにねこじょサンド買って貰ったから場所はしってるわよ」
「知らない人に物を買ってもらうなよ……」
「ママの知り合いなんだからいいじゃない。それじゃあまずは肩のパンから探しましょ」
「そうだな……売り切れても困るし。もっとも売っているかどうかも怪しいが」
「こっちだよ」
五十嵐さんは再び俺の先を歩きパンの置かれている場所? へと走っていった。
「こらっ!店内を走るな!」
俺の声は届いていないようだ……止まりそうにない。
「集塵くん、こっちだよー!」
目的地に着いてしまったようだ……小さな子供でもいたら怪我をさせかねない。あとで注意をしておかなくては。
ま、まぁ、とりあえず行くか……結構店内の奥の方にあるんだな。俺は五十嵐さんのいる場所へと足を運ぶ。
「うーん……ピザパンないわねー」
既に探していたか……。
「良くみたか? 奥の方に埋もれてたりするかもしれないぞ?」
「奥は集塵くんの担当でしょ! 早く確認してみて!」
「なんだその意味の分からん担当は……しゃがんだり、身を屈めるのが面倒なだけだろ?」
「いいじゃない。折角、仕事を与えてあげたんだから文句いわないの」
――いや、どうせならリアルで絵の仕事を紹介してくれよ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます