第83話 ピンクのヘッドホンがお似合いです!
肩ちゃんが頭に装着したヘッドホンは全体がピンクに塗装されていて可愛らしくお似合いだ。デザインはよくある丸型のハウジングのものだけど、液晶パネルが嵌め込まれている。
「左右のハウジング部分を手で覆ってみてよ」
肩ちゃはモウツαの言う通りにゆっくりと両手を静かに当てた。
「んー? 何も起きませんよ?」
「それじゃあ次はヘッドホンを外して首にかけてみて」
「これでいいのかな……あっ!?」
「どうかな?」
「何これ……どうなってるの!? カルビ炭火焼きロックが流れてきました!」
「そのヘッドホンは耳に装着すると曲が止まって外して首にかけると曲が再生される仕組みなんだよ」
ん? 音漏れもしてこない……肩ちゃんにしか聴こえないみたいだ。どうなっているんだ?
「凄いです!」
たしかに凄いとは思うけど、外さなくていいだろ……何か意味あるのかよ……。
「肩さんには、そのヘッドホンの再生テストをして欲しい。君たちが来るまでは僕がテストをしていたのだけれど、まだ途中なんだ。お願いしてもいいかな?」
「わかりました! とりあえず着けたり、外したりを繰り返せばいいですか?」
「そうだね。そんなに頻繁にじゃなくていいから。そうだな……10分に一回くらいかな?」
まぁまぁ頻繁じゃねーか……。
「あのさ、助けてもらう身でこんなこと言うのもなんだけど、ヘッドホンは分かったから銀髪のこと早く診てくれると助かるんだけど……」
「大丈夫だよ。今コミア姉さんがその為の準備をしているところだから。そろそろ、その準備も終わる頃だよ」
「そ、そうか……」
「じゃあ、肩さん頼んだよ。それじゃあ、僕は戻るから」
「はい!」
モウツαはそう言うと再び部屋へと戻っていった。
「あとは神に……いや、モウツαに祈るしかないか……」
横目で肩ちゃんを見ると例のヘッドホンを着けたり外したりを繰り返してニコニコしている。
あっ、目が合ってしまった……。
「集塵さん。これ面白いですよ。やってみます?」
まぁ、興味がないと言えば嘘になる。
「一回試してみようかな?」
肩ちゃんはヘッドホンを首から外すと俺にそれを差し出した。
「えーと……まずは頭に装着っと……こうだっけ?」
左右のハウジング部分に手を当てる。たしか次は外すんだったよな?
「どうですか? 聴こえます?」
「あれ? 何も聴こえないぞ? 壊れたかな?」
もう一度だけ試してみるか……えーと、頭に装着して……手で覆うと……それで首に……。
「駄目だ……さっきと同じだ……何も聴こえない」
「あれ? 集塵さん。ハウジングの液晶のところですけど赤く点滅しています」
「え? ほんと?」
俺はヘッドホンを外しハウジングに嵌め込まれている液晶を確認すると、確かに赤く点滅を繰り返している。よく確認してみると文字が表示されてるようだ。
えーと、なんて書いてあるんだろう……
「肩ちゃん、液晶にエラーって表示されてる」
「え! 何したんですか集塵さん!」
おかしいなぁ……モウツαの説明通りにやったはずなんだけど……ってまてよ……たしか最初に肩ちゃんの名前を登録していたよな……もしかしたら登録者以外の人は使えない仕様なのかもしれない……。
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