三行日記

一色 サラ

第1話

 美加は、寝る前に、スマホに日記を打とうとした。


『  』 何も浮かばない。なんて、打てばいいのだろう。


 会社で上司の高野に怒られたこと。それとも、食堂でからあげ定食が品切れになったことを書けばいいのだろうか。

 

でも、そんなことを書いて、何になるのだろう。


そもそも、日記って、読み返して、反省できるものではないのだろうか。


美加は過去の日記を読み返すことにした。スマホをスクロースしていく。


×月◎日

イタリア料理を食べに行った。美味しかった。


×月×日

テレビでバラエティーを観た。おもろかった。


小学生のような、日記みたいだ。


◎月◎日に

高野の奴、ムカつく。


◎月×日

なんで、人に責任転嫁とかしやがって。


悪口もある。


それに、いつも、1行しか書けなかった。


美加は長く日記が書けないことに、罪悪感が持ってした。それでも、なんて打てば、納得できるのか分からない。


『からあげ定食が品切れで、食べればなかった。』


美加は、それだけを打って、寝た。



「ただいま」


久しぶりに、美加は実家に帰ってきた。


「ああ、美加、お帰り。」


お母さんがリビングで、出迎えてくれた。


「これ、緑アン屋のどら焼き」


「ありがとう。ちょうど、甘いものが食べたかったのよね。お茶、入れるわね」


お母さんは嬉しそうに、キッチンに行って、ケトルに水を入れて沸かし始めた。


久しぶりの家はやっぱり、過ごしやすい。コタツの中に身体を入れると芯まで温まる。


「ねえ、仕事は順調?」


 お母さんは湯呑を美加の前に置いて、もう1つをお母さんは自分の前に置いた。

そして、どら焼きの箱を開けて始めている。


美加に質問して、返答と聞く気があるのだろうかと思ってしまう。


「順調だよ」


聞いてるのか、分からないけど一応、答えた。


お母さんはど焼きをパクりと大きな口で食べる。


「やっぱり、緑アン屋のどら焼きは最高ね。」


喜んでくれでくれようで、よかった。


「ねえ、美加って、三行日記って知ってる?」


「何それ?」


「そう、最近、お母さんも知ったんだけどね。まあ、言ってる通り、日記を三行でけ書くことなんでどさあ、

1行目に、その日の反省を、

2行目に、その日の感謝を、

3行目に、明日への目標を書くんだって。」


「ふ~ん。」


「まあ、日記を書くとに困って時に、参考にして。美加って日記を書くの苦手だったでしょう」


「そうだね。参考してみる。」


「なんか、その日の失敗や後悔を文字にすることによって、気持ちの切り替えができるって、雑誌に書いてたわ。あと、感謝や明日の目標を書くことによって、気持ちの切り替えに効果があるんでしょうね」


「気持ちの切り替えね…試してみよっかな」



<完>






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