日記なんてものは書いたこともなければ書きたいとも思わなかった。
竜田川高架線
書き方にも沢山あるらしい
日記を付けるようにした、と友人が言う。
友人は高卒で就職した。数年経って病んで辞めたが、今はまた別の会社でしっかり働いている。
僕と同級生だが、社会人としては友人の方が4年も先輩だ。僕は大学卒業と就職に合わせて地元を離れたのだが、その直前、久々に会おうと食事に誘ってくれた。
僕は社会に出ることが無条件に不安で仕方がない。ミスをしたら、精神的に病んだら、職場が合わなかったら、思いがけないところから不幸が降ってきたら……などなど、どうしようもない不安が襲いかかってくる。
僕はそんな不安を、同級生であり先輩である友人に嘆いてみた。友人は僕の話を聞いてくれたあとに、友人自信の話をしてくれた。
友人は、しんどいことを諸々経験して、今現在得た教訓が、日記だという。
「その日出来たこととか、出来なかったことを書くんだ」
話を聞くに、同じミスをしない、という対策に活かせるという。
なるほど、と思う。
日記なんてものは書いたこともなければ書きたいとも思わなかった。だが、僕のどうしようもない不安を多少なりとも軽減するには良いのかもしれない。
ただ、どう書けばよいのだろう。
日付を書いて……さて、どう書き出したものか。考えれば考えるほど、書き方がわからない。
こういうときは、グーグルを使おう。
なるほど、書き方にも沢山あるらしい。
選択肢が多いとそれはそれで悩む。
全く、日記というのは書くのが大変だ。
さて、日記を書くという事を教えてくれた友人は楽しそうだった。
日記のおかげだろうか。なるほど、僕も日記を書いてみよう。
「ところで、彼女とか出来た?」
「実は出来た」
そうか。僕と貴様との友情も今日までだ。
日記なんてものは書いたこともなければ書きたいとも思わなかった。 竜田川高架線 @koukasen
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます