降臨

決闘が終わるとセレナは急いでニコラスの元に向かう。


「大丈夫だよセレナ。しばらくは動けないかもだけど。」

「そうなんだ…ありがとう」


本当だった。あの火球を飲み込む程度の出力に抑えていたので

大した怪我はしないだろう。


「それにしてもごめんね…お父さん親馬鹿みたいなところがあるからさ…」

「気にしてないよ、1000年も期間が空いてたからリハビリにはちょうどよかったよ」


そんな会話をしているとニコラスが目を覚ました。


「いてて……私は負けたのか…」

ニコラスは腰に手を当て起き上がる。

「お父さん!何やってるんですか!アレスに決闘を持ちかけるなんて!

死にますよ?」

そう言ってセレナは魔法を詠唱した。


「かの者の傷を癒したまえ。」

「魔法『癒しの手ヒール』」


セレナの手から緑色の魔力があふれる。

(回復魔法に水系統の魔法…一体どんだけ使えるんだ?)


回復したニコラスは得意げに言う。

「ははは、確かにアレスは強いが死にはしないよ。」

(この親父、実力もはっきりわかんないのかよ…イライラするな…)


「あわわ…アレス!そんなに殺気立たないで!魔力!漏れてるから!」

「あ、ごめん。つい…」


アレスは急いで魔力を抑える。


「それにしてもアレスよ。なんなんだ君のな魔力は」

「確かに!私も気になってた!」

(そんなに異常な魔力はしてないとおもうんだけど…)


「そうですね、俺には生まれた時から白色と黒色の2つの魔力を持っているんですよ」


「「え?」」

するとセレナとニコラスは一斉に声を上げた。

「どうしたんですか?二人とも」


セレナは本当に気づいてないのかと言うような顔でアレスに言う。

「いやアレス?あなたには銀色の魔力も身に纏っているわよ?」

「え?」

声を上げたのは今度はアレスの方だった。

「アレスよ、白と黒の魔力も十分希少な魔力だが、銀の魔力は歴史上をみても過去に一人しかいなかったぞ」

「過去に一人…その人の名前わかりますか?」

アレスは必死な思いでニコラスに聞いた。

(アイリスへの手がかりかもしれない―)


―瞬間。世界が祝福した。


「—ッ!この気配は!」


懐かしさすらも覚えるその気配にアレスは全身の毛まで殺気立つ。

「最高神フリューゲルッッ!」

「こんにちはアレス・リアム。1000年ぶりかしら?」


「「—っ!」」

セレナとニコラスはその神々しさに戦意を消失した。

当り前だ。あれは世界最強と名高い最高神フリューゲル。

滅多に1000年前も姿を現さなかった彼女がなぜ今ここにいる?


「なんのようだ…フリューゲル…」

「そんなに怒らないでほしいな、話をしに来ただけじゃないか」

フリューゲルは辺りを見回すと不満げに言った。

「ここは少し場所が悪いね、移動しよう。」


―パチッン


フリューゲルは指を鳴らすと辺りの景色が消え、

何もない真っ白な空間に変わった。


「これで邪魔者はいなくなったかな。それでは1000年前の続きと行こうか!」

「うるせぇフリューゲル!お前だけは絶対に許さないッッ!」


それが合図となり、アレスとフリューゲルは魔力を開放した。





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