不穏な気配

「そうだ…俺はアイリスに…転生させられた…?」


するとアンドレアは嬉しそうに笑う。

まるでアレスとアイリスを嘲笑うように。

「えぇ、そうですよ。ここはあの聖戦が終わって1000年後の世界です。」

「そんな…それじゃ…アイリスは…?」

「さぁ?」

「—っ!」


激高したアレスはアンドレアを殴りつける。

何度も、何度も、何度も。

気付けばアンドレアの体は原型をとどめていなかった。


「アイリスは今どこにいる…」

アレスは震える声でアンドレアに再度問う。


「死んでは…いませんよ…」

「そうか…それじゃあ死ね」


アレスはアンドレアの心臓に剣を突き刺し息の根を止めた。



「大丈夫ですか!!アレスさん!」

「全部思い出したんだ…俺がここにいる理由が…」


アレスはさっきた記憶の内容をセレナに話した。

セレナはアレスの話を馬鹿にすることなく、真面目にアレスの話を聞く。


「アイリス・グレイスさんですか…聞いたことありませんね…」

セレナは申し訳なさそうにアレスに言う。

「そうか…アイリスほどの魔法の腕を持つものが歴史に残っていないのは気になるな…」

「それに人類最強の騎士アレス・リアムも聞いたことありませんね…」

「いや、それはいいんだが。」


アレスは照れながら言う。

「あ、でも、人類最強の騎士と言えばフェンリル・アウストリアがいますね。」

「そうなんですか?」

「はい、なんでも1000年前の聖戦を終わらせた英雄だとか…」

「聞いたことないな…」

(フェンリルと言えば三騎士トリニティガーディアンの一人にいたような…)


「それよりもアレスさん!」

「アレスでいい、俺もセレナって呼ぶから。」

「それじゃアレス!服とかを買いに聖コメリスシデュア国の王都に行きましょう!」


アレスの服を見てみると、聖戦の影響か、服がボロボロだ。

「ありがとう、俺お金なんて持ってないけどいいのか?」

「大丈夫です!私お金持ちなんで!」

「そうだったね、それに王都に行けば何か情報が得られるかもしれないね。」

「それじゃあ、王都に出発です!」


こうしてアレスたちは王都に行く。

アレスとアイリスを聖コメリスシデュア国の王都へ。




禍々しい魔力で溢れる場所『魔界』で6人の魔族が集う。

「いや~、やられちゃったね~」

「ふん。雑魚が調子に乗るからだ。」

「やつは四天王の中でも最弱…」


一つの空席を残す円卓を囲うのは、選ばれし7魔族ナンバーズの6人。

「それにしても1000年間メンバーが変わっていなかったのに、あっさり死んだよね~」

「しかたないだろう。やつにはアレス・リアムの記憶を取り戻させるというやつにしかできない役目があったのだからな」

「『記憶の追求者メモリー・パーソン』にしかできない、ね」

「1000年前のことなんか覚えてないんだけどさ、そんなにアレス・リアムってやつ強いの?」

「あぁ、あいつはだ。アスタロッサ様にも届きうる実力を持っている。」

「じゃあ、私が殺してこようか?」

「無駄死にするだけだ。やめておけ」

「そうだよ、いくら選ばれし7魔族ナンバーズ、『毒の追求者ヴェノム・パーソン』のクラーレといえども、勝機が薄い。」

「ふん!私は序列は6位だが、暗殺特化だ。すぐに息の根を止めてあげるよ!」

「それでは任せる。くれぐれもやつアレスを覚醒させるようなことはするなよ?やつはまだ己の力を思い出しきれておらぬからな。」

「わかってるって、それじゃ言ってくる!ゲート出して」

「あいよ。」


クラーレは魔法でできたゲートをくぐりアレスたちの元へ向かう。


「それにしても、クラーレを向かわせて良かったんですか?エース」

「構わん。どうせやつでは勝てぬからな。少しでも情報が得られればよい。」


こうして話し合いは終わり、各々が席を離れる。

「アレス・リアム。精々退屈にさせてくれるなよ?」

エースと呼ばれる男は不敵に笑った。






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