記憶の深淵—転生—

アレスは地を蹴り空を翔けた。

アイリスの魔法のおかげでもあるが人類最強の騎士の身体能力があってこその技だ。


「化け物が…いいだろう。受けてたとう。人の子アレス・リアム、アイリス・グレイスよ。」


アレスは自分が持っている全魔力を開放しアスタロッサを切りつけた。

「剣技『騎士の一閃エクエス』ッッ!」


アレスの全魔力を賭けた攻撃はアスタロッサの体に届く―

アスタロッサの身を両断した。が、


「—っ!」


アレスの全力の一撃で両断されたはずのアスタロッサの体が瞬間的に回復する。

「最高神フリューゲル!!お前らは敵同士じゃないのか!」

あろうことかアスタロッサの傷を癒したのは敵対関係のフリューゲルだった。


「勘違いするな人間、利害の一致というやつだ。お前らが降伏したらこの聖戦も終わる。」

「俺とアイリスで何をするつもりだッ!」

「なに、私たちのために永久に苦しむだけだ」

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


激高したアレスは後ろから近づくアスタロッサに気づかなかった。

「アレス!!危ない!!」


アイリスはアレスに向かって叫ぶ。が、遅かった。


―グサッ。


アスタロッサの腕がアレスの腹部を貫いた。


「アレス!!」

アイリスが必死に回復魔法を掛けようとするが、魔法が霧散する。

「どうして!」

アイリスを嘲笑うかのようにフリューゲルは言う。


「お前の魔法は厄介だからな。結界を張らせてもらった。」


空を見上げると王国全土にも及金色の結界が張られていた。

おおよそ神たちが行使した最大級の結界魔法だろう。


「アイリス…逃げて…」

アレスは絞り出すかのようにアイリスに言う。アイリスに手を伸ばそうとするアレスだったが、その手は届くことがなかった。

アイリスは意を決して命令する。

「魔法を使うわ。アレス時間稼ぎをお願い。」

「はは!この体で動けるわけないだろ!だが主の命令は絶対だからな!」


アレスの体からの二色の魔力が溢れ出す。

「まだこんな力が…面白い!それでこそ人類最強の騎士だ!」


アレスはアスタロッサを斬りつけた。

「くっ…」

アレスはアスタロッサに息を付かせないほど斬り付ける。

「—っ!」

「いいぞアレスよ!主の為に剣を振るう騎士はやはりかっこいい!」

アスタロッサは興奮した口調で言う。


「チャチャを入れるな!フリューゲルッ!」

フリューゲルは高濃度の魔力の光線を魔法構築中のアイリスに向けて放った。

しかし今のアレスの前では紙切れにも等しいほど無力だった。


「—なに?!私の光線を斬るだと?!」



何分。いやなん十秒かもわからない激しい戦いが終幕を迎えた。

「グハッ…もう限界だ…」

アレスの口から血が飛び散る。

当り前だ。アレスはアスタロッサの一撃で腹部に穴が開いた。

その状態でアスタロッサとフリューゲルと互角に渡り合ったあったのだ。

まさしく人外であろう。


「よく耐えてくれました!アレス!」

アイリスの体から銀色を魔力が迸る。


―瞬間。世界が揺れた。


彼方あなたは時空を超え、転移する。私達はいずれまた出会う日がくる。

今!私の想いは彼方あなたに託された!いつかまた会える日までッ!」


アイリスの銀色の魔力が限界を超え世界に迸る。


「魔法『転生リヴァイブ』ッッ!!!」


「アイリスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


アレスは時空の彼方に飛ばされた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る