アルテミス・シカーダ

Aiinegruth

第1話 

 セミと月は似ていると思う。


 朝から晩まで騒がしすぎて、

 夏は寝るのもたいへんだった。

 そして、冷たく、青ざめて、

 遠いところへ行ってしまった。


 セミと月は似ていると思う。

 いつかのあなたに、似ていると思う。


 だから私はこんな猛暑の、

 日の照り返す波打ち際で。

 薄く霞んだ真昼の月に、

 声を高くして叫ぶのだ。


 そろそろお盆だ、帰っておいで。

 精霊馬でなく、自分の羽根で。

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アルテミス・シカーダ Aiinegruth @Aiinegruth

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