日記出版

シカンタザ(AI使用)

日記出版

このたび私の書いていた日記が商業出版することになった。そこで編集者と打ち合わせになった。

「〇木さんの書いた内容はすごい面白いんですが、このままだとエピソードに出てくる人たちのプライバシーに関わるのでそこらへん変更したいんですよ」

「そうですね」

そう了承してできた原稿はすごいものだった。実際には男性だった人が女性に、20代だった人が40代に、関東出身だった人が関西出身に……などという具合だった。私が勤めている会社の業種も変更させられた。

そこまでやるのか……とにかく出版社というのは特別な事情でもない限り訴訟を起こされたくないのだ。

こうして1000部が出版され、一応は完売した。増刷はなかった。そりゃそうだろう。とにかく尖った部分を削って削って、すっかり丸くなったんだから、こんなもんだろう。

これでも著者が自分で書いた文章を元にしたんだからまだましなようだ。ちょっとした有名人に好き勝手にしゃべってもらったことをいい感じにまとめて本にするのが今の主流らしい。あるいはゴーストライターが1から10まで全部書くことも……。

これ以来日記を書くことをやめた。一応の目標を達成したというのと、文章を書くことへのばかばかしさを感じるようになったからだ。

「なにそれ意味深でかっこいいじゃん それっぽい単語集で踊ってんだ 失敬」

現代の文筆家はあの歌のようでもあるかもしれない。それでいいかもしれない。それだけ誹謗中傷で不幸になる人が後を絶たなかったんだから……。

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